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  1. 山口県議会 2017-02-01
    03月07日-03号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成 29年 2月定例会   平成二十九年二月山口県議会定例会会議録 第三号      平成二十九年三月七日(火曜日)  ────────────────────        議事日程 第三号      平成二十九年三月七日(火曜日)午前十時開議  第一 一般質問  第二 議案第一号から第五十八号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第五十八号まで                会議に出席した議員(四十四人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          曽   田       聡 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          佐 々 木   明   美さん                          小   泉   利   治 君                          岡   村   精   二 君                          二   木   健   治 君                          篠   﨑   圭   二 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          西   嶋   裕   作 君                          河   合   喜   代さん                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          田   中   文   夫 君                          澁   谷       正 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          守   田   宗   治 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          秋   野   哲   範 君                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          星   出   拓   也 君                          森   中   克   彦 君                          河   村   敏   夫 君                          藤   井   律   子さん                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          吉   井   利   行 君                会議に欠席した議員(一人)                          髙   瀬   利   也 君                欠 員(二人)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         弘 中 勝 久 君                    総務部長        池 田   豊 君                    総務部理事       矢 敷 健 治 君                    総合企画部長      大 谷 恒 雄 君                    産業戦略部長      村 田   太 君                    環境生活部長      秋 貞 憲 治 君                    健康福祉部長      藤 井   勉 君                    商工労働部長      阿 野 徹 生 君                    商工労働部理事     末 永   睦 君                    観光スポーツ文化部長  小 玉 典 彦 君                    農林水産部長      河 村 邦 彦 君                    土木建築部長      前 田 陽 一 君                    会計管理局長      西 生 公 一 君                    財政課長        三 好 健太郎 君                    公営企業管理者     小 松 一 彦 君                    企業局長        市 原 充 之 君                    教育長         浅 原   司 君                    教育次長        原 田   尚 君                    公安委員長       香 川   敬 君                    警察本部長       齊 藤   寛 君                    代表監査委員      河 嶌 繁 太 君                    監査委員事務局長    村 田 雅 弘 君                    労働委員会事務局長   相 島 満 久 君                    人事委員会事務局長   守 田 正 史 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        坂 本 哲 宏 君                    事務局次長       田 平   隆 君                    審議監兼政務企画室長  岡 村 達 也 君                    総務課長        吉 岡 達 也 君                    議事調査課長      瀧   隆 明 君                    秘書室長        前 田 安 典 君                    議事調査課主幹     柳 原 廉 均 君                    主査兼議事記録係長   三 好   政 君                    主任          宇佐波 菜 採さん                    主事          岡 村 恵 子さん                    主事          内 田 達 志 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第五十八号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十八号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 藤生通陽君。    〔藤生通陽君登壇〕(拍手) ◆(藤生通陽君) おはようございます。自由民主党会派の藤生通陽であります。それでは、通告に従いまして、質問をいたします。 最初に、地域商社と連携した県産品の売り込み強化についてお尋ねをいたします。 我が国が人口減少社会に突入している中、本県は全国に比べ少子高齢化が急速に進んでおり、直近の人口移動統計調査では人口は百四十万人を割り込むなど、減少傾向に歯どめがかかっておりません。 こうした人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加速させるという悪循環に陥る中で、とりわけ県土の七割を占める中山間地域に多大な影響が生じないよう、一刻も早く手を打たなければならない状況であります。 一方で、中山間地域の主要産業は農林水産業であり、本県には魅力ある農林水産品や六次産品、加工品等が多数存在しておりますが、人口減少に伴い地域の需要も減少していることから、農林水産業の維持・発展を図るためにも、県外にも目を向けていく必要に迫られています。 特に、二○二○年の東京オリンピックパラリンピックの開催を初め、今後も消費拡大が見込まれる首都圏に県産品を売り込む本県独自の商社機能の確立が求められています。 そこで県では、県産品の首都圏等への売り込みを強化するため、本県に必要な商社機能の構築に向けて、昨年の四月、東京有楽町にやまぐち県産品東京売込オフィスを設置をし、県内事業者の相談対応や商談会等を実施されています。 また先日、千葉の幕張メッセで開催されたスーパーマーケット・トレードショーにおいて、地域商社機能の検証として、統一感を持たせて改良を行ったオランジェットや甘酒、ハム、ソーセージなど七品目の県産品を出品をされ、我が党の若手議員も視察をさせていただきました。 首都圏等の大消費地は、売り込み先としては大いに魅力的でありますが、地域間の競争も激化していることから、商品の差別化を図って地域間競争に打ち勝ち、本県の商品を売り込んでいく必要があります。 そうした中、先月、地元金融機関から、地域商社の設立を検討するとの報道発表がありました。 私は、商社に行政が関与し過ぎると、全ての事業者に公平な扱いをすることで、結果的に商社が利益を出せず、うまくいかないのではないかと思います。民間企業が中心となって、これまでにない新たな商流を生み出し、商社がもうかることで、生産者にも利益が還元される好循環が生まれることを期待しています。 県としても、地域商社と連携して県産品を首都圏に売り込んでいくことで、県内事業者の所得を向上させ、地域経済を活性化し、若者に魅力ある雇用の場を創出していかなくてはなりません。 そこでお尋ねをいたします。民間企業を主体に設立される地域商社に対し、これまでの取り組みの成果を踏まえ、今後どのように連携して、本県の魅力ある県産品の売り込み強化を進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、我が会派の代表質問に関連いたしまして、行財政構造改革の推進についてお尋ねをします。 県では、県政運営の指針であります「元気創出やまぐち!未来開拓チャレンジプラン」に沿って、「活力みなぎる山口県」の実現に鋭意取り組まれているところであります。 しかしながら、本県の最重要課題である人口減少問題を克服し、将来にわたって活力みなぎる県づくりを推進していくためには、こうした取り組みを着実に進めていくための確固たる行財政基盤の確立が不可欠であり、優先して取り組んでいく必要があるものと考えます。 来年度予算につきましては、予算編成方針の公表時点で百八十億円もの財源不足が見込まれる厳しい状況からのスタートとなりましたが、歳出事業の見直しや臨時的・集中的な財源確保対策等により、最終的な財源不足額は三十九億円まで圧縮できたとのことであります。 しかしながら、この財源不足額については、最終的には財源調整用基金の取り崩しに頼らざるを得ず、根本的な解決には至っていないところであります。さらに、県が公表した収支見通しによれば、平成三十三年度までの期間に見込まれる財源不足額は千三百五十億円にも上るとのことであります。 こうした厳しい財政状況のもと、活力みなぎる県づくりや本県独自の地方創生を実現していくためには、単年での財源確保対策にとどまらない中長期的な視点からの行財政構造の立て直しが急務であり、我が会派の代表質問に対しまして、知事は、持続可能な財政基盤の確立に向けて、全庁を横断した行財政改革統括本部を設置し、全力を挙げて取り組んでいくとの姿勢を示されました。 しかし、来年度以降も引き続き社会保障費等の増大や地方交付税の減少等が見込まれる中、こうした行財政改革を実現していくことは容易ではなく、従来の財源確保対策の延長ではない、まさに思い切った構造改革が必要になるものと考えます。 そこでお尋ねでありますが、極めて厳しい財政局面の中、今後、全庁を挙げてどのように行財政構造改革に取り組まれるのか、副知事に行財政改革統括本部長としての御所見をお伺いいたします。 次に、空母艦載機の岩国移駐について、二点、お尋ねをいたします。 本県においては、平成十七年、国からの米軍再編案が示されて以来、本県議会でも毎回かんかんがくがくの議論を重ねてきましたが、去る一月二十日に国から空母艦載機の具体的な移駐時期や機種、機数等が示されたところであります。 これから最終局面を迎えるに当たり、この問題をどのように判断するのか、いま一度、県の基本姿勢、基本スタンスについて、県議会はもとより県民が理解をし、共通の認識に立つことが重要と考え、お尋ねするものであります。 県は、今以上の基地機能強化は容認できないという基本姿勢に照らし、このたび国からの回答等を取りまとめ、基地周辺住民の生活環境は全体として悪化する状態は生じないことから、基地機能の強化には当たらないと整理をされました。 基地機能の強化について、県はこれまで一貫して基地周辺住民の生活環境への影響があるかどうかを判断基準としてこられましたが、配備されている航空機の増加や新たな部隊の移駐など、基地の軍事的な機能が強化されるという意味において、本県議会でも議論されたこともあり、議論がかみ合っていない面もあったことは否定はできません。 私は、基地の提供や基地機能の変更は、国が安全保障の観点からその必要性を判断をし行っているものであり、地方自治体の権限や役割を踏まえれば、県の判断基準は理解できるものであります。 そこでお尋ねでありますが、改めて県が基本姿勢の一つとしている今以上の基地機能強化は容認できないという点について、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、普天間基地移設の見通しが立たないうちに、空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められないという基本スタンスについてお尋ねをします。 米軍再編計画が示されて、十年以上が経過をしました。この間、紆余曲折のあった沖縄の普天間基地移設問題につきましては、昨年十二月に新基地建設に係る最高裁判決が下され、先般、埋め立て工事が再開されました。 振り返りますと、平成二十一年に発足した民主党連立政権は、米軍再編の見直しを掲げ、当時の総理は普天間基地を国外、少なくとも県外にと発言をされ、政権内部からは普天間基地の移設候補先が岩国基地という情報も流れたと承知をしています。 これを受け、平成二十一年十二月、県は、米軍再編を見直すのであれば、原点に立ち返り、空母艦載機の移駐は受け入れられないとして国の見解をただし、県議会においても、岩国基地は到底受け入れられるものではない。見直しに当たっては全ての基地を抱える自治体の負担軽減と国の説明責任を求めるという趣旨の決議を行いました。 その後、空母艦載機の移駐はもとより、普天間基地移設も見直されなかったが、県は、この後、米軍再編問題に対し、これ以上の負担増は認められない、普天間基地移設の見通しが立たないうちに空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められないという基本スタンスを掲げ、これを堅持されているところであります。 そこでお尋ねをいたします。私は、米軍再編の目的である沖縄の負担軽減を進めることに着目した県の基本スタンスについて十分承知していますが、現下の普天間基地移設をめぐる情勢を踏まえ、普天間基地移設の見通しに係る基本スタンスを掲げた経緯も含め、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、農業生産工程管理の推進についてお尋ねします。 平成三十二年に我が国で開催される東京オリンピックパラリンピックの選手村などで使われる食材について、大会組織委員会が夏までに具体的な品目や量の案をまとめることが明らかになりました。 また、あわせて農産物は国産を優先的に選ぶとされているものの、その基準として農業生産工程管理──GAPというようでありますが、その認証を取得したものが選考される見込みとなり、国ではこの認証取得に向けた支援を行っていくとされました。 この認証制度は、法令も踏まえ、農産物の生産過程で留意すべき事項を網羅し、最終的な生産物に食品安全上の問題が生じないようにするための手順や手法を示すとともに、土壌や水質といった自然環境の保全や農作業に従事する者の安全性確保などを含めて、農業という生産活動を持続可能なものにしていこうという視点も持ち合わせているところに、欧州を起源とする制度の特徴があります。 国においては、本大会を契機として、さらなる和食の海外普及と、この認証取得による我が国農産物の輸出拡大を目指していることと思われますし、もちろんこの大会において本県の農産物が使われることや、県産農林水産物の輸出拡大につながるにこしたことはありません。 しかしながら、私としましては、この認証制度は、食品安全、環境保全、労働安全といったことのみならず、生産工程における情報の記録と保管を行うことで、みずからが生産活動を点検し、改善につなげていくことが可能となる点にこそ着目してほしいと考えます。 つまり、兼業農家や小規模農家までが、高額な費用負担をして認証を取得するとまではいかなくても、多種多様な法令を順守しつつ農業を営み、さらに活性化を図っていくためのツールとして、生産工程管理と点検・改善という手法を活用できれば、今までの勘と経験に頼る職人的な産業としての農業から脱却をし、情報と理論に裏づけされた、特に若い人たちにも魅力のある雇用の場としての農業を営むことができるのではないでしょうか。 そこでお尋ねでありますが、本県農業の振興に向けて、農業生産工程管理の推進にどのように取り組むのか、お伺いします。 次に、地域のきずなづくりに向けた県民活動の促進についてお尋ねをします。 少子高齢化の進展により、今後、ますます地域の活力が停滞することが懸念をされています。現在、国を挙げて地方創生の取り組みが進められています。本県においても、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、「活力みなぎる山口県」の実現に向けて積極的に取り組んでおられます。 一方で、本県の財政状況は極めて厳しい状況に直面しており、今後も慢性的な財源不足が見込まれるなど、行政主導による地域課題の解決や公共サービスの提供には限界が来ていることは申し上げるまでもありません。 さらに、個人の価値観やライフスタイルの変化などもあり、地域が抱える課題はますます複雑・多岐化するとともに、多くの新たな課題にも直面しています。 県民活動とは、こうした地域のさまざまな課題を解決していくために、県民が自主的・主体的に取り組む社会貢献活動のことであり、人口減少に歯どめがかからない現状において、地域のきずなづくりに必要不可欠なツールとなっています。 近年、環境美化、子育て、地域医療福祉、地域防災、まちづくりなど、多くの分野で県民や企業によるボランティア活動や社会貢献に対する意識が高まっています。このことは、法人数や人口が減少している中においても、活動の核となるNPO法人の数が着実にふえてきているという事実が裏づけています。 これまで、本県では、二○○一年のきらら博で培った県民力をさらに発展させるため、山口県県民活動促進条例の制定や、やまぐち県民活動きらめき財団の設立など環境づくりを進め、その後の国民文化祭・やまぐち二○○六、おいでませ!山口国体・山口大会等を通じて、ホップ・ステップ・ジャンプと県民力を高めてこられました。 また、現在では、県民の社会貢献活動への参加を促進するため、やまぐち社会貢献活動支援ネット──「あいかさねっと」というようであります──を開設をされ、登録者の拡大に努めておられますが、まだまだこうした活動への参加を難しく考えておられる方もおられるのではないでしょうか。 こうした中、来年は明治百五十年プロジェクトの中核イベントである山口ゆめ花博の開催が予定をされています。知事は、行政、企業、団体、県民の力を結集して取り組まれると述べておられますが、まさに本県の県民力の裾野を拡大し、再び国内外に広くアピールするチャンスでもあると考えています。 そこでお尋ねいたします。「活力みなぎる山口県」の実現に向け、県民一人一人の意識を高め、地域のきずなづくりに欠かせない県民活動の促進にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、障害者スポーツの推進についてお尋ねをします。 昨年九月に開催されたリオデジャネイロパラリンピックにおけるマラソンの道下美里選手や柔道の廣瀬順子選手など、また山口県出身の障害者アスリートの活躍は記憶に新しいところであります。スポーツに取り組む障害者の方にとってのみならず、県内の全ての障害のある方に夢と希望を与え、県全体に活力を生み出してくれました。 お二人は、その後も御自身の競技活動と並行してイベントや講演など、障害者スポーツのすばらしさを伝える活動に精力的に取り組んでおられ、障害者スポーツに対する県民の関心や理解はますます深まりつつあります。 また、続く昨年十月に行われた「第十六回全国障害者スポーツ大会 希望郷いわて大会」においては、リオでのお二人の活躍に呼応するように、山口県選手団はメダル三十八個を獲得、特に金メダル獲得数二十四個は参加した全六十七選手団中八位と、まさに大健闘であり、さらなる競技力向上に向けた機運も高まってきております。 こうした盛り上がりを一過性のものに終わらせないためには、もっと障害者スポーツを社会全体で理解し、応援していく仕組みづくりが重要であると考えます。また、そうすることで、障害の有無や年齢、性別を超え、全ての人々が、地域、暮らし、生きがいをともにつくり高め合うことができる、地域共生社会の実現にもつながっていくのではないでしょうか。 県では、本県最大の障害者スポーツの祭典であるキラリンピックや各種スポーツ大会の開催など、スポーツを通じた障害者の社会参加の促進に取り組んでおられますが、障害者のトップアスリートの活躍が県民に与える希望や勇気ははかり知れない効果を生むことも事実であり、東京オリンピックパラリンピックを三年後に控えた今、こうした障害者アスリートを社会全体で育成・支援する取り組みも必要と考えます。 また、障害者だけでなく、健常者も障害者スポーツに身近に触れ、一緒に体験することにより、障害者スポーツに対する県民の理解がさらに深まるものと思います。 さらに、施設環境の整備も重要な要素であります。本県における障害者スポーツの活動拠点である山口県身体障害者福祉センターは昭和四十九年竣工であり、体育館の老朽化が進んでおります。また、床がコンクリート張りであることから、転倒時等に負傷する危険性が高く、パラリンピック競技でもある車椅子バスケットボールでの利用に支障がある状況であると伺っております。今後、ますます障害のある方の利用ニーズが高まると予想される中、早期の改修が必要と考えます。 そこでお尋ねをいたします。二○二○年の東京オリンピックパラリンピックに向けて障害者スポーツに対する関心が高まる中、県では障害者スポーツの推進に向けたこうした取り組みについてどのようにお考えか、お伺いをいたします。 最後に、警察行政のうち、高齢の歩行者や高齢ドライバーの交通事故対策についてお尋ねをします。 平成二十八年中、県内において発生した人身交通事故の総件数は五千四百一件で十七年連続の減少、また、けがをされた方についても減少傾向で推移しているとのことであります。 一方で、交通事故により亡くなった方は六十四人と前年と同数であり、悲惨な交通死亡事故の防止は依然として大きな課題であるということは言うまでもありません。 こうした中、近年、特に大きな耳目を集めている高齢の歩行者や高齢ドライバーが当事者となった交通事故に目を向けますと、一昨年の平成二十七年、交通事故により当県内で亡くなられた高齢者は四十四人でしたが、昨年の一年間では三十人に減少したとのことで、亡くなった方に占める割合では相当数の減少を見せているところであり、高齢者の交通安全に対する県民の意識の向上や、県警察のリーダーシップが功を奏したものと評価するところであります。 また、県警察では昨年、高齢者の交通事故の防止に関して、歩行者対策及びドライバー対策をさらに推進されたとのことであります。 その中では、生活実態に応じた戸別訪問指導や反射材の着用推進、関係機関と連携した広報活動など、高齢者が交通事故の被害に遭わない取り組み、他方では、生活の足としてどうしても車の運転が必要な方に対し、個別指導や相談体制の確保、また先進安全自動車、いわゆるASVの普及促進を図るなど、高齢者が加害者にもならないよう、両面からの取り組みを進められておるとのことであります。 加えて、近く施行される改正道路交通法では、一定の違反を繰り返した高齢者に対する臨時認知機能検査の導入が盛り込まれるなど、運転免許制度そのものについても見直しや検討が進められているとのことであり、実情に応じたきめ細かな対応はもちろんのこと、今後もその成果が一層あらわれることを心から願うものであります。 高齢者の交通安全をめぐりましては、昨年の十一月議会におきましても、我が会派を初め多くの質問がされたところであり、我が県民共通の重要な課題の一つとして、一丸となって取り組まなければなりません。 そこでお尋ねをいたしますが、高齢者が関与する交通事故をなくすため、その情勢を初めさまざまな取り組みの成果や課題についてどのように認識しておられるのか、また、今後どのように取り組まれるのか、警察本部長にお伺いします。 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 藤生議員の御質問にお答えします。 まず、地域商社と連携した県産品の売り込み強化についてです。 人口減少に伴う地域経済の縮小が懸念される中、県産品の新たな需要を開拓していくためには、首都圏等への売り込みを一層強化していかなければなりません。 このため私は、すぐれた県産品が数多くある一方で、それぞれの生産ロットが小さいという本県の特性や、小規模な生産者は大都市圏での継続的な営業活動が難しいという実態も踏まえまして、商品のブランド化と営業代行を重視した、本県独自の地域商社機能の構築に取り組んでまいりました。 同時に、この機能をより実効性の高い持続可能なものとするためには、民間のノウハウや経営手法の活用が不可欠であることから、民間主導型の仕組みづくりを目指してきたところです。 こうした方針のもと、関係者との話し合いを進める中で、今般、県と地方創生に係る包括連携協定を締結している山口銀行から、県と協力し、民間出資による地域商社の設立に取り組みたいとの意向が示されました。 私としても、この民間主体の動きを確かな成果に結びつけていきたいと考えており、今後、同行と連携して検討を進めてまいりますが、設立に向けては、商社の収益性を高め、自立的かつ安定的な経営を確保する面から、地域間の競争を勝ち抜く魅力ある商品づくりが大きな課題と考えています。 県では、今年度、統一されたデザインやパッケージの改良によるオリジナルブランドの商品開発に試行的に取り組んできました。開発した商品については、市場での評価を確認するため、お示しのスーパーマーケット・トレードショーに出展したところ、多くの首都圏バイヤーから好感触を得ました。 こうした成果を生かして地域商社の立ち上がりを支援するため、このブランドを引き続き商社の取り扱い商品に使用することとし、来年度は生産者によるブランド商品のさらなる開発を支援するとともに、素材となる商品の掘り起こしを進めるための拠点を県内六カ所に設けることとしています。 また昨年、東京に設置し、四百件以上の商談をサポートしてきたやまぐち県産品東京売込オフィスについては、これまで築いてきたバイヤーとのネットワークを活用しながら、販路の開拓や市場動向の把握を継続し、これらを地域商社に引き継いでまいります。 さらに、地域商社の設立後は、首都圏で開催される大規模展示会に継続的に出展するなど、県産品の売り込みとあわせて商社の認知度を高めることで、商社の活動を側面支援することとしています。 私は、こうした地域商社の設立と自立に向けた支援を通じ、商社と一体となった県産品の売り込み強化に取り組むことにより、首都圏等での販路拡大を図るとともに、これを県内における生産の拡大と生産者の所得向上、そして新たな雇用の創出に着実につなげてまいります。 次に、空母艦載機の岩国移駐についての二点のお尋ねにお答えします。 県としては、米軍再編の目的は、抑止力の維持と沖縄を中心とする地元負担の軽減であり、個別の再編案は全体としてパッケージであると国から説明を受けてきたことから、これを理解し、協力するという方針のもと、お尋ねの基本姿勢や基本スタンスを堅持して対処してきたところです。 そこで、まず、基本姿勢の一つとしている基地機能の強化に係る見解についてです。 今般の艦載機の移駐のような基地機能の変更は、国の専管事項である外交・防衛政策の一環として行われるものであり、地方自治体としては軍事的な機能を判断する権限や知見は有しておらず、住民の安全と福祉の向上を図ることが基本的な役割であることから、基地機能の強化に当たるかどうかについては、お示しのとおり、航空機騒音や安全性等の面で、基地周辺住民の生活環境が現状より悪化する状態が生じるかどうかを判断基準としてきたところです。 このたびもこの判断基準に基づき改めて整理したところであり、私としては、今後とも、基地機能の変更により、基地機能の強化、すなわち航空機騒音や安全性等の面で、基地周辺住民の生活環境が現状より悪化することは容認できないという考え方により対処してまいります。 次に、普天間基地移設の見通しに係る見解についてです。 お示しのとおり、平成二十一年に発足した民主党政権は米軍再編を見直しの方向で臨むとされましたが、政府として普天間基地移設先の検討の結論が出ない段階で、パッケージの一つである艦載機の岩国移駐については、地元への十分な説明がないままロードマップに従い進めることが決定されるという大変遺憾な事態が発生しました。 こうした経緯を踏まえ、県としては、政府において普天間基地の移設を進めることなく、厚木から岩国への艦載機の移駐のみを先行的に進めるということは認められないという基本的な考え方のもと、平成二十二年六月議会において、普天間基地移設の見通しが立たないうちに空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められないという基本スタンスを表明したところです。 昨年末、普天間基地の移設をめぐっては、最高裁判決により、国が工事を行う上での法的地位が確定するなど状況の変化がありましたが、地元市町は、現時点、移駐を容認しておらず、私は基本スタンスについて引き続き堅持した上で、今後の移設をめぐる動向や政府がそれにどう取り組んでいくのかを見きわめ、適切に対処してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 弘中副知事。    〔副知事 弘中勝久君登壇〕 ◎副知事(弘中勝久君) 行財政構造改革の推進についてのお尋ねにお答えします。 来年度当初予算の編成においては、本県財政が恒常的に多額の財源不足を生じる極めて厳しい状況にあることを踏まえ、昨年夏から知事の指示により全庁的な検討チームを立ち上げ、中長期的な視点での財政基盤の強化、立て直しに向け、徹底した行財政構造改革に取り組んでまいりました。 その結果、来年度予算では百五十三億円、また、今後五年間では約九百五十億円の改革額を見込むことができ、当初見込まれた財源不足額の解消に一定のめどをつけることができたところです。 しかしながら、今後も社会保障費の増大や地方交付税の減少などが続くことが見込まれる中、今後五年間の財源不足額は総額で一千三百五十億円に上る見通しとなり、さらに四百億円もの財源不足対策を講じなければならない状況となりました。 このため、行財政改革統括本部においては、この多額の財源不足を確実かつ計画的に解消していくため、総人件費の縮減や公共投資等の適正化、全ての事業を対象とした徹底的な見直しなど、あらゆる選択肢を排除せず、聖域なき行財政構造改革を徹底して進めていかなければなりません。 その実現には大変な困難を伴うと考えますが、私としては、知事の進める活力みなぎる県づくりをしっかりと支えるため、財政は県政運営の重要な基盤であるとの認識のもと、収支均衡した安定的な財政構造が確立できるよう、本部長として、本部員である部局長と一体となり、全力を挙げて改革の実現に取り組んでまいりたいと考えています。 ○議長(柳居俊学君) 河村農林水産部長。    〔農林水産部長 河村邦彦君登壇〕 ◎農林水産部長(河村邦彦君) 農業生産工程管理の推進についてのお尋ねにお答えします。 農業生産において、植えつけ、収穫等の作業の点検項目に沿って、記録、点検、評価、改善を繰り返し行う農業生産工程管理──GAPは、食品の安全確保を初め、作業の効率化や販売先への信用力の向上など、経営改善に重要かつ有効な手法であると考えています。 このGAPには、工程の管理度合いにより、基礎、日本型、国際標準などの段階があり、本県では平成二十年度から作業内容を記録、自己点検する基礎GAPを推進し、県内五十一の主要産地で取り組まれるなど、普及を図ってきました。 平成二十三年度からは、より高度な工程管理が実現できるよう、第三者機関が認証する日本型のJGAPの導入を支援してきたところですが、現時点での認証取得は一部の法人にとどまっています。 こうした中、お示しのように、東京オリンピックパラリンピックで扱う食材は、JGAP等の認証取得が要件となる見込みであり、国内外の流通においてもJGAP等の認証がトレンドとなることが想定されることから、今後はこれらの認証取得を積極的に進める必要があると考えています。 このため、まず認証取得を進める対象として、GAPを通じた経営改善の意欲が高く、収益の向上を目指す法人などを選定し、重点的な働きかけを行ってまいります。 また、取得推進の方策としては、これら経営体に対し、JGAP上級指導員などによる現地指導や、研修を受講した普及指導員等による継続的な支援などを通じ、工程管理の手法を濃密に指導します。 さらに、将来の本県農業を担う若い農業経営者の習得を促進するため、来年度、新たに設置する農業経営塾や農業大学校の教育カリキュラムの中にも、JGAP等に関するプログラムを設定します。 加えて、認証取得のネックとなる記帳や認証に係る労力や費用の負担軽減を図るため、県が独自に開発したICTシステムを活用して、圃場ごとの作業の効率的な記録・点検を進めるほか、複数の経営体が共同で認証を取得する団体認証制度の導入を促進します。 県としては、今後とも関係団体と連携しながら、GAPを通じた農業経営の改善を図ることにより、国際的にも通用する、若者に魅力のある農業の実現に努めてまいります。 ○議長(柳居俊学君) 秋貞環境生活部長。    〔環境生活部長 秋貞憲治君登壇〕 ◎環境生活部長(秋貞憲治君) 地域のきずなづくりに向けた県民活動の促進についてのお尋ねにお答えいたします。 県民活動は、地域の課題解決や活力ある地域づくりを進めていく上で、重要な役割を果たしています。 このため県では、市町や山口きらめき財団などと連携しながら、県民活動への参加促進や活動団体の育成に取り組んでいますが、お示しのように、地域の課題が複雑・多様化していることから、その取り組みを強化する必要があります。 まず、県民の参加促進についてです。 県では、昨年度から、県民活動支援センターにおいて、ボランティア活動への参加希望者と募集団体とをインターネットでマッチングする「あいかさねっと」を運営するなど、ボランティアへの参加拡大に努めています。 来年度は、この「あいかさねっと」も活用しながら、全市町で一斉にボランティア活動に取り組む県民活動チャレンジデーを開催します。これによって、これまで県民活動に関心がなかった方々の参加を促し、ボランティア人材の裾野の拡大を図ります。 次に、活動団体の育成についてです。 県民活動団体が持続的に活動を続けるためには、安定した運営資金を確保することが必要です。 このため、ビジネスとして収入を得ながら地域の課題解決を目指す、いわゆるソーシャルビジネスの普及を進める必要があると考えています。 そこで、本年度においては、ソーシャルビジネスのノウハウを学ぶセミナーの開催や中小企業診断士等の専門家派遣により、事業の立ち上げに向けた基礎知識の習得を図っています。 次のステップとして、来年度にはビジネスプランコンテストを開催し、その優良事例に対して立ち上げ経費を助成することにより、創業につなげていきます。 さらに、今後、この事例をビジネスモデルとして広く周知することにより、ソーシャルビジネスの普及を進めていく考えです。 県としては、県づくり・地域づくりを加速する契機となる明治百五十年や、その中核イベントである山口ゆめ花博に向け、市町や関係団体と連携し、県民活動を一層活発化させることにより、活力ある地域づくりに積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 藤井健康福祉部長。    〔健康福祉部長 藤井勉君登壇〕 ◎健康福祉部長(藤井勉君) 障害者スポーツの推進についてのお尋ねにお答えします。 リオデジャネイロパラリンピックを契機として障害者スポーツが盛り上がりを見せる中で、障害者スポーツを一層推進していくためには、お示しのように、県民に夢と希望を与えるトップアスリートの育成と、裾野を広げるための環境づくりが重要です。 このため、まず、県、企業、県民によるやまぐちパラアスリート育成ファンドを県障害者スポーツ協会に来年度創設し、三年後に迫った東京パラリンピック等への出場を目指し、頑張っている障害者トップアスリートを社会全体で支援する仕組みづくりを進めてまいります。 具体的には、県の出資に加え、広く企業や県民から寄附を募るとともに、助成対象アスリートを公募し、選手の発掘・育成と国際大会や強化合宿等への参加費などの活動経費支援を一体的に行うこととしています。 次に、障害や障害者スポーツに対する理解を一層促進するため、本県ゆかりのパラリンピアン等をゲストに迎えて、パラリンピック種目のデモンストレーションや体験会、障害者と健常者が同一チームで競技する交流会を行う、あいサポートスポーツフェスティバルを新たに開催することとしています。 さらに、選手の練習環境を充実するため、車椅子バスケットボールや卓球などの練習拠点である県身体障害者福祉センター体育館の床をフローリング化するなどの改修を行うこととしています。 県としては、こうした取り組みを通じ、県障害者スポーツ協会や競技団体と連携しながら、障害者スポーツの一層の推進に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 齊藤警察本部長。    〔警察本部長 齊藤寛君登壇〕 ◎警察本部長(齊藤寛君) 高齢者の交通事故防止対策についてお答えいたします。 昨年の県内における交通事故死者のうち高齢死者は三十人で、前年に比べ十四人減少したほか、高齢ドライバーによる交通事故死者は十五人で、前年に比べ六人減少しており、これまで実施してきた高齢者の交通事故防止対策に一定の成果が出たものと認識しております。 しかしながら、昨年の高齢死者の半数を超える十六人が歩行者で、その七割以上が横断中の事故となっているほか、夜間の事故で亡くなられた歩行者九人全ての方が反射材を着用していなかったことがわかっています。 また、高齢ドライバーの運転操作の誤りによる人身交通事故の割合は、他の年齢層と比較して高くなっております。 こうしたことから、今後、ますます高齢化が進む当県にとって、高齢者の事故抑止対策は喫緊の課題であり、県警察では、高齢者を被害者にも加害者にもさせないよう、今後とも歩行者とドライバーの両面から対策を行ってまいります。 まず、高齢歩行者の事故防止対策としましては、独居世帯を中心に高齢者世帯への戸別訪問活動を推進するほか、重大事故発生現場における講習会や、介護予防事業と連携した交通安全教室を引き続き開催することとしております。 特に、夜間事故対策として、毎月九日の反射材着用促進の日を中心に、反射材の視認効果を実感していただく体験型講習会を開催するとともに、ドライバーの方々に対して、車両とすれ違うときなど以外は原則ハイビーム走行であることを徹底してまいります。 一方、高齢ドライバー対策としましては、自分の運転に不安を感じている方などを対象に、自動車教習所の指導員による実車講習を行い、運転上の注意事項などについて、高齢者やその家族に対して具体的に指導することとしています。 また昨年から、各自動車メーカーと連携して先進安全自動車、いわゆるASVの普及促進活動を推進しているところでありますが、本年も引き続き自動車ディーラーと連携した体験乗車を行うなど、ASVの有用性を実感していただくための取り組みを進めていくこととしています。 このほか、新規の施策として、ドライブレコーダーを各警察署に二台配置し、高齢ドライバーのマイカーに取りつけ、その映像を活用して、運転実態に応じた個別指導を行うことを予定しています。 こうした取り組みを通じて、交通事故に直結するなど潜在的な危険性があると認められる高齢者に対しては、運転免許の自主返納を促す活動を引き続き行っていくこととしております。 このほか、今月十二日から七十五歳以上の高齢者を対象に、高齢運転者対策を強化した改正道路交通法が施行されます。 これまで、改正法の円滑な導入に万全を期すべく諸準備を進めてまいりましたが、施行後につきましては、丁寧な説明を心がけ、適切な運用に努めてまいります。 県警察といたしましては、今後も高齢者の交通事故防止対策を着実に推進し、悲惨な交通事故が一件でも減少するよう取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 小泉利治君。    〔小泉利治君登壇〕(拍手) ◆(小泉利治君) 公明党の小泉利治でございます。 昨年、二○一六年十二月十日、山崎貴監督の映画「海賊とよばれた男」が公開されました。私も鑑賞いたしたところでございます。 この映画は、一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる、その男の名前は国岡鐵造。出勤簿もなく定年もない異端の石油会社、国岡商店の店主で、一代かけて築き上げた会社の資産のほとんどを失いながら、借金を負いつつも店員の一人も馘首せず再起を図る、そして石油を武器に世界との新たな戦いを開始しました。 石油会社の出光興産創業者の出光佐三氏をモデルに、これからは石油の時代になるとの直感を信じて終戦の混乱期を乗り越え、国内大手競合企業との戦いや海外石油メジャーとの競争を経て、実業家として、そして人間として成長していく物語でありました。 クライマックスでは、海外石油メジャーの嫌がらせにより、石油の輸入ができなくなった主人公、国岡鐵造──岡田准一さんが演じたわけでございますけれども──がイギリスを敵に回しながらも、秘密で巨大タンカー、いわゆる日章丸をイランに派遣し、何とか輸入に成功し、大成功の足がかりをつかみます。 「海賊とよばれた男」の実在のモデルは出光興産の創立者、出光佐三さんであり、この映画の内容はほとんど史実であるとお聞きしました。 しかし、一カ所だけ史実でないところがありました。それは、実在の出光佐三は、主役の岡田准一のようなイケメンではなかったと、これは出光石油関係の方がある会合で述べておったわけでございます。いずれにしても、この映画は日本エネルギーを支えた男のストーリーであります。 そこで、まず初めに、今後のエネルギー資源を確保するためには港湾整備が必要であるとの観点から、宇部港港湾計画の改定についてお尋ねいたします。 宇部港は、開港以来、石炭やセメントといった原燃料の輸出入を中心に発展してきました。 また、宇部港は、産業の一次エネルギーに不可欠な石炭を国内顧客へ供給する重要な中継地でもあり、石炭の港湾年間取扱量は輸入移入量が五百八十万トン、移出量も三百十万トンで、合計八百九十万トンは日本でもトップクラスであります。 しかし、新興国の急速な経済成長等に伴い、石炭などのエネルギー資源は世界的な獲得競争が激しさを増しております。私は、このような状況において、物流コスト削減に寄与する港湾整備を今まで以上に推進していく必要があると考えています。 一方、宇部港は国際バルク戦略港湾に選定され、石炭輸送のケープサイズ級大型船のセカンドポートとして位置づけられています。大型船の二港揚げは、輸送の効率化による物流コスト低減が期待されています。国内顧客へ安定的かつ安価な石炭を提供することができることから、重要な施策であります。 さらに、宇部港周辺では大型の石炭火力発電所が建設される予定であり、現在、宇部の西沖地区において、山口宇部パワー株式会社の百二十万キロワット大型石炭火力発電所の建設が進められています。 この発電所が完成すれば、宇部港の石炭輸入量は、二○二五年度までに現状の一・五倍以上に当たる年間一千万トンになると想定されています。投資額は約三千億円、新規雇用者数も二百人から三百人程度で、発電所建設による経済波及効果は数千億円規模になると言われています。 しかしながら、現状の宇部港における石炭荷揚げ能力では、年間一千万トンの石炭の揚炭が不可能であるため、早急に港湾計画改定に着手し準備を進めなければ、発電所建設計画にも影響が生じます。 将来的な石炭の需要は、今後、大きく増加すると見込まれ、石炭の輸入拠点港として、輸送船のさらなる大型化に対応した港湾整備が課題となっています。 私は、先月、二月三日に東京丸ビルホールで、徳山下松港、宇部港における石炭サプライチェーンの継続に関するセミナーに参加しました。山口大学の三浦房紀副学長が、南海トラフ巨大地震等大規模災害に備えると題した基調講演をされました。想定される震度や津波などを示しながら、大規模地震に対する防災機能の強化など、時代の変遷とともに多様化する港湾への要請に適切に対応することが必要であると述べられました。 宇部港は、今後三十年以内に必ず起こるであろうと言われている南海トラフ巨大地震時に、被害甚大な地域に救援物資を送れる供給基地港としての役割を十分果たすことが期待できます。 しかし、現在の宇部港港湾計画は、平成十四年の改定から既に十四年が経過し、目標年次とされた平成二十年代後半を迎えています。 このため、港湾計画の改定が急がれますが、そこでお尋ねいたします。宇部港における長期構想を踏まえた港湾計画の改定について、今後どのように取り組むのか、お伺いいたします。 次に、山口県住生活基本計画の見直しについてお尋ねいたします。 我が国は、ついに人口減少社会に突入してしまいましたが、中でも本県は全国よりも早いペースで人口減少や少子高齢化が進んでおり、四半世紀後には県人口は現在よりも四十万人も少ない百万人程度に、高齢化率は現状の三一・九%から約三八%に、さらには一般世帯総数も現在よりも十万世帯以上も少ない四十八万世帯程度になる見込みであります。 こうした中、昨年、国において、今後十年間の住生活における安定の確保と向上のため、住生活基本法に基づく住生活基本計画が変更され、公表されたところであります。 今回の国の基本計画では、少子高齢化・人口減少社会を正面から受けとめ、その方向性として、若年・子育て世帯や高齢者が安心して暮らせる住生活の実現、既存住宅の流通と空き家の利活用の促進、住生活にかかわる各種産業の活性化などが示されています。 日常生活を営む中で欠くことのできない住宅は、プライベートな生活の場であるだけではなく、豊かな地域社会を形づくる上でも重要な役割を担っています。 国が基本計画で示した方向性は、県民の住生活における安定の確保や真に豊かな住生活の実現に向け、まことに時宜にかなったものであると、私は高く評価しているところです。 こうした国の基本計画を受けて、現在、都道府県計画の見直しが進められているところですが、本県でも、先ほど触れたように、人口減少や少子高齢化が急速に進むなど、住生活を取り巻く環境が大きく変化する中、若年・子育て世帯や高齢者などの住環境の整備、低所得者など住宅の自力確保が困難な方の居住の安定、急増する空き家問題への対応など、一刻も早い解決が求められる多くの課題を抱えております。 そこでお尋ねいたします。現在、山口県住生活基本計画について見直しを進めておられると思いますが、見直しに当たっての方向性とその進捗状況について、まずお伺いいたします。 また、県の基本計画には、住宅のセーフティーネットとして重要な機能を持つ公営住宅の供給目標量についても記載が義務づけられていますが、これから県人口が減少することが見込まれる中、公営住宅、とりわけ県営住宅の整備について、今後どのような方針で対応していかれるのか、あわせてお伺いいたします。 次に、受動喫煙防止対策についてであります。 公明党の山口那津男代表は、先週の三月二日、党本部の会合にて受動喫煙防止の議論に関して、二○二○年の東京五輪・パラリンピックを見据え、受動喫煙防止法を制定する必要性を強調しました。 受動喫煙により健康被害が生ずるという因果関係が実証されていることなどから、現在、大多数の国民が喫煙をしない、しかし受動喫煙の影響はこうむる、こうしたことを政治が放置しておいてはならないと述べておりました。 また、諸外国の受動喫煙対策に関して、韓国や中国、英国などでは、五輪を契機として国内法をきちんと整備していると指摘した上で、東京五輪を控える日本でも、国際社会に通用する受動喫煙防止の仕組み、法律を整備する必要があると訴えていました。 そのような中、厚生労働省は、受動喫煙防止対策を強化するための健康増進法改正法案について、現在開会中の通常国会への提出を目指しているようであります。 その中で、二○二○年の東京五輪・パラリンピックに向けて受動喫煙対策を強化するため、飲食店に喫煙室の設置を認めた上で原則屋内禁煙とし、未成年が利用する場所は受動喫煙防止を徹底するという方針を固めたようであります。 また、今月一日には、強化策として飲食店を禁煙とし、都道府県知事等の喫煙中止命令に従わない喫煙者には三十万以下の過料を科すとした案を公表しました。 さらに、飲食店などの施設管理者には、喫煙の禁止場所を掲示するなどの義務を課し、義務違反の是正勧告や命令に従わない管理者には五十万円以下の過料とする案も盛り込むようであります。 平成二十二年のWHOの報告では、全世界において、受動喫煙による死亡者数は六十万三千人に上ると推計されています。 同様に、昨年五月には、国立がん研究センターが、日本では受動喫煙が原因で年間約一万五千人が亡くなっているという推計を発表しました。これほどまでのとうとい命が失われているのです。 さらに、同年八月には、喫煙と健康、いわゆるたばこ白書が公表され、受動喫煙のある人は受動喫煙のない人に比べて肺がんのリスクが約三割増加することが、日本人を対象とした研究の統合解析で改めて確認され、受動喫煙によって肺がんや虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群などのリスクが確実に高まると発表しました。 我が国が批准しているたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約では、分煙対策でなく、屋内の公共場所や職場等を全面禁煙とする、罰則つきの法律を施行することが締約国に求められています。 そのために、WHOによる国別の対策の評価において、日本の受動喫煙対策は、二○○八年の報告以来、常に最低ランクの評価を受けています。 枠組条約のガイドラインでは、喫煙室や空気清浄機による対策は不適切であり、受動喫煙を防止するためには建物内を一○○%全面禁煙とする必要があるとされています。 喫煙室を設置しても、ドアのふいご作用──ドアの開閉に伴う圧力変化で煙が押し出されたり、喫煙室から出てくる喫煙者の身体の動きに伴って煙が持ち出され、喫煙室をつくっても受動喫煙を完全には防止できないことがわかりました。しかも、喫煙室には設置費用も維持費もかかり、不経済でもあります。 法律によって屋内の喫煙が禁止された国々では、虚血性心疾患、脳卒中やぜんそくなどの呼吸器疾患が約二割から四割減少したことが報告されています。 レストラン等の子供が利用する飲食店を禁煙化することにより、早産や子供のぜんそくによる入院が減少することも明らかになっています。また、屋内が禁煙化されることで、喫煙者の禁煙率が増加することもわかっています。 屋内全面禁煙をすると、飲食店等のサービス産業の売り上げが落ちるのではないかといった反論もありますが、愛知県では、全面禁煙化した店舗の影響を調査した結果によると、いずれも売り上げが減少しないことが報告されています。 禁煙化しても売り上げが減らない理由として、喫煙者が必ずしも客離れをしないことのほか、受動喫煙を敬遠して飲食店を利用していなかった人たちの利用がふえることなどが考えられると報告していました。 今後、屋内禁煙を推進するに当たり、経営者に対して、店舗の禁煙化は従業員や顧客を受動喫煙から守るだけではなくビジネスチャンスであると伝え、対策の理解を得ることも必要であると思います。 昨年十一月十四日、厚生労働省主催の第五回健康寿命をのばそう!アワード表彰式が行われました。私も参加しました。席上、国民の健康を守る観点から、受動喫煙防止対策の必要性という共有認識を拡大し、受動喫煙のない社会を目指すことに多くの人が賛同でき、社会的機運を向上するためのロゴマークを発表しました。お手元の資料の左上にあるマークがそれであります。こうしたツール等も利用し、理解を広げることが必要であると思います。 そこでお伺いしますが、県民の健康増進を図り、県民の命を守るために、不特定多数の人が集まる場所での受動喫煙をゼロにするなどの受動喫煙完全防止に向け、受動喫煙防止対策にどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 この際、一点要望をいたします。 愛煙家の皆様の意見には、自分が好きで吸っている嗜好品なのだから、法律で規制するのは禁煙ファシズムではないかとの意見もございますが、こうした議論は昔から続いているわけでございます。 しかし今は、たばこががんや心臓病や生活習慣病などのいろいろな病気が発症する原因になっていることが、先ほども述べましたように、科学的に証明されております。また、主流煙よりも副流煙による受動喫煙の被害のほうが深刻であるということも、近年の研究によって明らかになっています。 ある方が言ってまいりました。自分は五十年間たばこを吸っているが、大病はしていないと言われましたが、それは本人が吸うたばこにはフィルターを通して吸うのであって、周りの人はその煙を直に受けるため、事は深刻でございます。 県内の小・中・高等学校は敷地内禁煙を実施しています。数年が経過していますが、その後、特にPTA等との大したトラブルはないとお聞きしております。 先日、山口県総合保健会館を訪問しました。そこには喫煙コーナーがありました。その周辺では、二、三人の方々がたばこを吸っていました。写真にあるところは一人でありますけど、その奥に二、三人いたんですね。 私は、公共施設は敷地内禁煙に絶対にすべきだというふうに思っております。そこで、県民に対して健康増進を呼びかけ、健康づくりを発信している拠点施設が山口県総合保健会館ではないでしょうか。 聞くところによりますと、ここで大きな会合のときなど、十数人の方が喫煙コーナーのところのバケツを囲み喫煙しております。その煙が裏口通路を通り、受付前のロビーまでその副流煙が漂って、不快感が漂っていたとお聞きしております。 そのロビーには、さまざまなたばこ関連情報が掲示されていました。その主なものが、皆様方の机に配付しましたとおりでございます。中にはこういうチラシもありまして(掲示)、たばこの煙から子供たちを守りましょうといって、受動喫煙から守りましょうとチラシがありながら、副流煙が漂うという施設であります。 また受付には、丁寧にも喫煙場所案内図も用意して、ここで吸ってくださいというようなものもありました。この際、山口県の総合保健会館では、まず喫煙コーナーを撤去して、早急に敷地内禁煙にすべきではないかというふうに考えます。 これは以上要望しまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 小泉議員の御質問のうち、私からは、山口県住生活基本計画の見直しについての二点のお尋ねにお答えします。 まず、山口県住生活基本計画の見直しの方向性と進捗状況についてです。 住宅は、県民にとって最も身近な生活の基盤であり、家族と暮らし、人を育て、安らぐことのできる空間であるとともに、人々の社会生活や地域のコミュニティー活動を支える拠点でもあります。 私は、安心・安全で豊かな住生活の実現は重要な政策と認識しており、住宅の耐震化や空き家対策等の施策を積極的に進めているところです。 こうした中、国においては、昨年、住生活基本計画を変更されたところであり、これに即しつつ、本県の特徴を踏まえ、県の基本計画を見直すこととしました。 具体的には、全国平均より高い高齢化率や空き家率、全国平均を下回る木造住宅の耐震化率などの地域特性を踏まえ、居住者、住宅ストック、産業・地域の三つの視点から、若年・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現などの目標を定め、三世代同居・近居の推進や住宅の耐震化などの施策を一層充実させたいと考えています。 今後は、パブリックコメント、市町への意見照会などを経て、来年度、計画を決定することとしています。 次に、県営住宅の今後の整備方針についてです。 国の住生活基本計画では、住宅市場を通じてその目標が実現されることを基本としており、お示しのように、公営住宅はそのセーフティーネットとして位置づけられています。 こうした中、本県では今後十年間で人口や世帯数が減少する見込みですが、一方で高齢者やひとり親世帯等の増加により、公的支援が必要な世帯数は微増する見込みであることから、公営住宅全体の供給目標量はほぼ同じ水準を想定しています。 このため、県営住宅については、計画期間である平成三十七年度までは現行の管理戸数を維持することとしており、引き続き、建てかえや高齢化等に対応するバリアフリー化などにより、住環境の整備に努めてまいります。 平成三十八年度以降は、公的支援が必要な世帯数の減少が見込まれることから、官民の適切な役割分担が保たれるよう供給量を抑制しつつ、市町のコンパクトなまちづくりなどを支援しながら、他用途への転用や集約化、廃止等も含めた検討が必要となると考えています。 私は、今後も、良質な住環境を確保するため、住生活基本計画に基づく諸施策の推進に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 前田土木建築部長。    〔土木建築部長 前田陽一君登壇〕 ◎土木建築部長(前田陽一君) 宇部港港湾計画の改定についてのお尋ねにお答えします。 港湾計画は、十年から十五年程度先を目標年次とし、港湾の開発、利用及び保全に関する基本方針に基づき、施設配置計画、土地利用計画などを定めるものです。 現行の宇部港の港湾計画は、お示しのとおり、平成十四年に改定したものであり、既に目標年次である平成二十年代後半を迎えています。 この間、宇部港は国際バルク戦略港湾に選定され、石炭の輸入拠点として、育成プログラムに沿った施設整備が進められるとともに、企業間連携による共同輸送や二港揚げなどの取り組みも行われており、さらに大型の石炭火力発電所の新規建設も計画されるなど、今後、ますます石炭需要の増加が見込まれています。 また、本港地区において、当初、緑地として予定していた用地が野積み場として活用されるなど、現行計画と利用実態に乖離が見受けられています。 加えて、南海トラフ巨大地震等の大規模災害を見据えた緊急支援物資の集積及び供給基地としての機能や、憩いと潤いの場となる親水空間としての機能など、防災や交流の観点からも多様で高度な役割が求められているところです。 県では、こうした宇部港を取り巻く状況変化を踏まえ、これまでも港湾計画の改定の必要性について検討してきており、昨年度から今年度にかけて周辺企業に対するアンケート調査や個別ヒアリングを実施し、その結果、石炭の需要増に加え製品輸送の船舶の大型化など、現行計画策定時から企業ニーズ等が大きく変化していることが明らかになったところです。 このため県としては、今後、さらに地域ニーズをきめ細かく把握するため、地域住民の皆様を対象としたアンケート調査を実施するなど、宇部港港湾計画の改定について検討を深めていきたいと考えています。 ○議長(柳居俊学君) 藤井健康福祉部長。    〔健康福祉部長 藤井勉君登壇〕 ◎健康福祉部長(藤井勉君) 受動喫煙防止対策についてのお尋ねにお答えします。 たばこは、喫煙者だけでなく、周りの吸わない人の健康にも大きな影響を及ぼすことから、受動喫煙防止対策は県民の健康づくりを進める上で重要な課題と考えています。 このため県では、多くの方が利用する施設の種別ごとに施設内禁煙などの基準を設定し、施設管理者へ周知するとともに、受動喫煙防止対策に取り組む事業所・団体等をやまぐち健康応援団として認証・登録し、公表するなどの取り組みを進めてきたところです。 こうした中、国においては、東京オリンピックパラリンピックの開催に向け、受動喫煙防止対策を強化する方針とされたところです。 このため、まず、受動喫煙防止対策の必要性について県民の共通認識を拡大するため、お示しのロゴマークも活用して、リーフレット、県ホームページ、県広報誌など、さまざまな機会を通じて県民への周知に努めてまいります。 次に、飲食店等の屋内禁煙を推進するため、たばこ白書にあるように、全面禁煙化によるマイナスの経済影響が認められないという情報をリーフレットやラジオ等により周知し、事業者の理解を促進してまいります。 これに加えて、来年度、従業員の健康管理に取り組む企業を認定・表彰するやまぐち健康経営企業認定制度を創設し、受動喫煙防止対策を評価項目に加えるなど、事業者の取り組みを働きかけてまいります。 県としては、国における法改正の動向を注視しながら、企業や市町、関係機関等とも連携し、さらなる受動喫煙防止対策の取り組みを推進してまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時二十八分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○議長(柳居俊学君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第五十八号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十八号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 岡村精二君。    〔岡村精二君登壇〕(拍手) ◆(岡村精二君) 自由民主党新生会の岡村精二です。 さて、昨年のリオオリンピックでは、日本の活躍が目覚ましく、大きな感動とともに、次世代を担う若者たちに未来への希望を強く感じました。 一方、熊本県地震では多くの家屋が損壊し、厳しい状況が今も続いています。地震発生後、車庫を改修して生活をしていた御家族のために、簡易ハウスを搬送、設置しました。 そのお宅のおばあちゃんから、「中学生の孫のことをずっと心配していました。これで、やっと落ちついて勉強ができます。孫は、今の私にとって大きな希望ですから」とのお言葉をいただきました。 そのとき、村岡知事の母校である宇部高等学校の玄関前に設置してある記念碑に書かれた言葉を思い出しました。 記念碑には、村の発展を百年の計画で行うなら、人材育成にまさるものはない。そこで中学校を設け、子弟を教育し人材の育成をなし、我が郷土の精神を継承し、進んで我が国の役に立つよう貢献すべきということになり、当時集まった寄附金は三十五万円と書かれています。現在の約十二億円に相当する金額だそうです。村民の教育に対する情熱を強く感じます。 こうして、宇部高等学校の前身である宇部中学校は大正八年、日本初の村立中学校として開校されました。 人材育成こそ未来への選択と確信し、行動を起こした宇部村民に教えられ、次代を担う子供や若者たちのために何ができるのか、真剣に考えさせられました。これからも、ふるさとの輝かしい未来を約束するために精進してまいります。 それでは、通告に従い、一般質問をさせていただきます。 まず、西日本衛星防災利用研究センターの開設に伴う新産業の創出と雇用拡大についてお尋ねいたします。 先日、国が打ち上げた観測衛星からのデータを扱う宇宙航空研究開発機構(JAXA)の西日本衛星防災利用研究センターが山口県産業技術センターに開設されました。私にとっても、待ちに待った開設です。 国が地方創生に向け進める政府機関の地方移転の一環で、県と山口大学が、衛星データの蓄積や解析を行っている茨城県の筑波宇宙センターのバックアップ機能を担える施設として開設を提案していたものであり、西日本では初となる人工衛星データ受信施設となります。 同センターが開設されることにより、県産業技術センターでは、地球観測衛星「だいち二号」が有する気象、地形等のデータを活用できるようになります。 また、インターネットなどに使用される通信衛星「きずな」用の直径一・二メートルのパラボラアンテナが設置されることから、大規模災害などで筑波宇宙センターの受信施設を使用できなくなった場合、その代替機能を果たすことが可能となります。 また、山口大学においても、衛星データを解析する研究を行う応用衛星リモートセンシング研究センターを開設しました。豪雨による土砂災害など、自然災害に関して、発生直後の被災場所の特定や、県の災害対策を検討するのに役立てるとのことです。 JAXAから県や山口大学に提供される膨大な観測データは、これらの防災利用のみにかかわらず、穀物の生産予測や地球温暖化対策など、農業や環境関連産業にも役立てることができることから、県では、山口大学、JAXA、企業などとの研究会を新たに設置し、データの活用方法やビジネスへの応用について研究を進めると聞いています。 膨大なデータ量は、A4の用紙に印刷して積み上げると、何と三千六百キロに及ぶという、すごいビッグデータです。このデータを活用した新たな産業の創出や、山口県で開発されたソフトを使わなければビジネスチャンスは生まれないというような、新たなソフトの開発が可能ではないか、そして雇用拡大など、私は大きなビジネスチャンスと捉えています。 そこでお尋ねいたします。県として、今後、JAXAの山口県進出を契機に、新産業の創出や雇用拡大にどうつなげていくのか、お伺いいたします。 次に、土木建築行政について、数点のお尋ねをいたします。 まず、建設業者の育成についてお尋ねいたします。 現在、建設業界は、バブル崩壊後の長期にわたった不況時代から脱却し、需要に応じられない状況になっている会社もあるようです。その大きな課題の一つが、人材の確保と後継者の育成にあります。 特に、長期にわたった不況により、若い現場技術者が育成できておらず、仕事を受注しても、現場を任せる技術者がいないというジレンマがあるようです。専任の技術者が必要となる公共工事の場合、複数の現場を持たせられないことがあります。 技能労働者は、約三百四十万人と言われております。そして、そのうち約三分の一に当たる百十万人が今後十年間で高齢化等により離職する可能性が高いと想定され、新たな雇用もままならない中で、十年後の建設業は成り立たないおそれがあります。 本県も全国と同様、厳しい状況にあり、平成二十二年の調査では、建設業就業者の五十五歳以上の割合が約三八%と高く、一方、二十九歳以下の割合が約一一%と高齢化が進行し、次世代への技術・技能の継承が大きな課題となっています。 このように、建設業従業者の減少に歯どめがかからないという状況では、大規模災害のときに適切な対応や、公共土木施設の老朽化への対策などの点において、大きな課題を背負っているものと考えています。 そこで、この課題を打破するために、県でもさまざまな施策を試みておられますが、なかなか成果が得られない状況が続いています。 御存じのように、地域の建設業が安定的な経営を維持するためには、年間を通じた仕事量の確保が必要であり、それらの事情を加味して発注時期の平準化が進められており、改善もされているようですが、建設業の現場の声としては、一向に効果が実感できていないという言葉を耳にします。 その理由は、発注は早くなったかもしれないが、工期は相変わらず年度末に集中し、実態として負荷分散ができていないことが挙げられます。 また、現場担当として技術者を早くから占有され、そのための費用や人員計画を立てなければならないなど、新たな課題も生じているとのことです。 そこでお尋ねいたしますが、建設業における若手後継者の育成、公共工事における現場管理のあり方の改善、発注時期の平準化について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、三世代同居・近居の推進についてお尋ねいたします。 宇部市に生まれた私のめいは、宇部に勤務している人と結婚したにもかかわらず、残念ながら山陽小野田市に家を購入しました。理由は、小学校のそばに児童館があり、静かな公園があるという子育て環境だそうです。 若者の居住・定住の大きな理由に、子育て環境が大きな要素だということを改めて感じました。 さて、国土交通省によると、近居とは、住居は異なるものの、親世帯と子世帯が日常的に往来ができる範囲に居住することとされています。明確な数値による定義はされておりませんが、大体およそ半径二キロメートル以内、徒歩で三十分、車で約十分以内ほどの距離が一般的な目安とされ、そのライフスタイルがもたらすさまざまな影響が、今、注目を浴びています。 近居では、子は親の家事や介助、介護などを援助して、親は子の子育てを、育児を手伝うということで、女性の就労も支援し、そのことが親の生きがいにも通じるとのことです。お互いに助け合う、そうした人間性を築くということで、子育てをしやすい環境、コミュニティーをつくることが大きなメリットだと言われています。 まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、子育て支援の充実策として三世代同居・近居の推進支援が挙げられており、少子化・高齢化社会における今後の都市政策、居住政策の有効な政策として着目し、その重要性が認められています。 山口県では、世代間の支え合いによる子育てしやすい環境づくりとして、子育て世帯等の経済的負担を軽減するため、三世代同居・近居を希望する方を官民連携して支援する、やまぐち三世代同居・近居パスポートを発行されました。協賛企業から、割引など、さまざまなサービスや、三世代同居・近居に関するイベント情報などを配信しています。 また、世代間の支え合いによる子育てしやすい環境づくりとして、新たに三世代での同居や近居を始めるための住宅の新築や購入、増改築または改修を行うための助成を行う、やまぐち三世代同居・近居住宅支援事業補助金を創設され、早い時期に予算額に達したとして受付終了になったと聞いています。今後も、何より直接的な取り組みとして期待をしているところです。 そこでお尋ねいたしますが、まず本県の状況をどのように把握しておられるのか。また、現在の取り組みにより、どの程度、三世代同居や近居の推進を図ろうと考えておられるのか、お伺いいたします。 次に、三世代同居や近居を地域再生の柱とする政策化についてお尋ねをいたします。 三世代同居や近居の推進については、現在、都道府県や市町村においても、さまざまな意欲的な取り組みが始まっていますが、単なる住宅政策ではなく、地域再生を図っていくためのまちづくり政策として取り組むべきと考えています。 状況をまず把握し、推進に必要なコーディネーターといった人材の育成、広域的・専門的支援の実施などを行う、三世代同居や近居を望む人がおのずと選択できるような政策の展開を図っていく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、宇部湾岸道路の延伸についてお尋ねをいたします。 宇部湾岸道路は、宇部市と山陽小野田市の中心部を結ぶ唯一の幹線道路である国道百九十号で、当時、藤山交差点や流川交差点等が主要渋滞ポイントに位置づけられるなど、慢性的な渋滞が発生し、特に藤山交差点では、山口県内の交差点としては第一位の交通量であるほか、県内で三番目に混雑度の高いことから、東須恵インターチェンジから新町インターチェンジまでの区間が都市計画決定されています。 このうち、東須恵インターから西中町インターまでの区間については、平成二十三年八月に藤曲インターから西中町インターの間及び厚東川新橋の街路部が開通し、平成二十五年三月に東須恵インターから藤曲インター間が開通し、現在に至っています。 西中町インターから宇部空港までの約五キロの区間の建設が望まれますが、財政状況が厳しい中、ひとまず都市計画決定がされている西中町インターから新町インターまでの約一・五キロメートル区間について、延伸が強く望まれています。 小野田方面から宇部市街地に抜ける西中町インターは、通勤時間帯、特に雨天時には渋滞がひどく、一信号で十五台程度しか通過できず、信号五回待ちとなる状態が日常化しています。 仮に計画どおり、新町埠頭付近の新町インターまで延伸されていれば、西中町インターで宇部興産への通勤者がおり、市街地への通勤者がそのまま通過できるため、大幅に渋滞緩和がなされると思います。 既に土地買収が終わっている場所もあり、多くの市民が延伸を待ち望んでいます。 そこでお尋ねいたしますが、宇部港へのアクセス道路であり、物流コストの軽減にもつながる宇部湾岸道路に関して、今後の延伸の可能性について御所見をお伺いいたします。 次に、県外進学者に対する県内就職の促進についてお尋ねをいたします。 私は、昭和五十九年に学習塾を開校し、三十年間にわたり塾生を送り出してきましたが、卒塾生の名簿を見てがっかりしたのは、七割の子供たちが宇部にいないという現実です。 大きな夢を持って県外に就職するのならいいのですが、市内に就職することができず、仕方なく県外に出ていった子供たちも多くいます。特に、県外の大学に進学した子供たちの多くが、そのまま大都市に就職し、戻ってこないというケースが多いようです。希望する会社が県内にないという現実もあり、地場産業の再生は何より大きな課題です。 山口県全域でも、大学に進学する高校生の約七割が県外に進学するとともに、県内大学生の約七割が県外で就職しており、十五歳から二十四歳までの若者の多くが県外に流出している状況です。 こうしたことから、県内進学に向けた県内大学の魅力の発信、県内への人材定着に向けた県内就職の促進等により、高校生、大学生等の若者や女性の本県への定着を図ることが重要です。 このため、県におかれましても、大学との連携による県内大学への進学の促進や、県内大学等が主体的に実施する地域産業を担う人材の育成、新規学卒者の県内定着等を積極的に進められております。 また、高校生や大学生等の若者や女性の就職を支援するとともに、地域や職場における女性の活躍を促進し、さらには、若者だけでなく、みんなが地域で活躍し、定着することができる地域社会の実現に向けて、高齢者や障害者の就労を促進しておられますことは、高く評価をいたしております。 山口県においては、県外に進学した大学生の多くが県内に就職せず、県内に戻ってこない傾向があることから、県外への進学者の県内就職を促進する取り組みが必要との認識のもとで、県外に進学した大学生等を中心としたUターン就職対策の強化を図っておられます。 そこでお尋ねをいたします。人口減少が続く中、今後、県外進学者に対する県内就職の促進について、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、青少年の健全育成についてお尋ねをいたします。 平成十五年、県議会議員に初当選して、私が最初に取り組んだ課題が、書店やコンビニで販売されていた有害図書の陳列に関する青少年健全育成条例の改正でした。 当時、書店やコンビニでは、少年向けの雑誌と一緒に成人向け雑誌が混在して販売されていました。子供たちのそばに性的情報が氾濫している状況に危機感を覚え、条例改正に取り組みました。 その後、県の御理解もいただき、現在では、有害図書について包括指定とし、日本一厳しい条例となっており、陳列に当たっても仕切りをつけた分別方式となりました。 私はさらに、成人向け図書をコンビニから完全に排除できないかと考えています。 昨年春、沖縄県名護市のコンビニに偶然入ったところ、雑誌の陳列棚に成人向け図書が陳列されていませんでした。意外な驚きでした。気になって五軒のコンビニに立ち寄ってみましたが、どの店舗にも成人向け雑誌は陳列されていませんでした。 店員の方に聞いてみると、「置いても余り売れないので、陳列スペースがもったいないから置いていません。インターネットはもっと過激ですから」との返事でした。時代の変化も感じましたが、幼い子供たちへの影響を考えれば、成人向け図書の陳列排除は、勇気ある決断だと思いました。 有害図書の陳列規制は、青少年の健全育成に係る喫緊の課題でもあります。 これまでの成果と今後の取り組みについて、県の御所見をお伺いいたします。 次に、小学校の国語力の育成についてお尋ねをいたします。 長年、青少年教育に携わってまいりましたが、年々、子供同士がコミュニケーションをうまくとれなくなっていることを感じています。 そのような中、平成二十三年度より、小学校において現行の学習指導要領が全面実施され、五年、六年生を対象に、年間三十五単位時間の外国語活動が必修化されました。 文部科学省のホームページには、外国語活動においては、音声を中心に外国語になれ親しませる活動を通じて、言語や文化について体験的に理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、コミュニケーション能力の素地を養うことを目標として、さまざまな活動を行いますとされています。 生きる力の基礎となるのはコミュニケーション能力であり、その土台の上で初めていろいろな能力が発揮されます。そのコミュニケーション能力を支えるのは、母国語である日本語力であり、それを言葉の力と表現をしていると私は理解しています。 さらに、小学校五年、六年生において必須とされていた外国語活動を正式に教科とし、小学三年生から英語教育を開始する方針が文部科学省より発表されました。 その狙いは、初等教育の段階からグローバル化に対応した教育を充実することで、国際社会の中で活躍できる人材を育成することと言われています。 しかし、母国語である日本語でのコミュニケーションができなければ、英語を初め、他の言語で伝えたいことを伝えられるはずもなく、特に小学校の間においては、国語力を身につけていくことが優先されるべきではないかと思います。 家庭に任せる部分もあるのは当然ですが、幼稚園、小学校における教育の基礎があってこそ、中学校、高校での教育が意味を持つと考えます。 小学校において、国語力があってのコミュニケーション能力と考えますが、県教委として、その育成にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、いじめへの対応についてお尋ねをいたします。 いじめ問題が新聞で報じられるたびに心が痛み、人を思いやる心、心の豊かさを子供たちにどう教育していくべきなのかと考えさせられます。 私自身も多くの子供たちに対応してきましたが、携帯電話のSNS、隠されたいじめの把握は難しく、被害者が泣き寝入りし、苦しんでいるケースが多く見受けられます。強い意志を持って加害者の子供と保護者に対峙するしかないというのが私の結論です。 いじめの早期発見は当然ですが、気づきにくい、判断しにくい形で行われることが多いため、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から的確にかかわりを持ち、いじめを軽視したり、隠したりすることなく、積極的に認知することが必要です。 日ごろから児童生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、児童生徒が示す変化やサインを見逃さないように、児童生徒がいじめを訴えやすい体制を整え、いじめの実態把握に取り組む必要があります。 保護者が気づいたころには、最悪の状況になっていることも多くあり、さらに中途半端な対応は、悪循環を起こす可能性さえあります。 先日、山口市内の小学校においても、死ね、殺すと書かれたメモが机の中に入れてあり、女子児童が学校に通えなくなっているとの報道がありました。 また、他県の事例を含めますと、いじめが減少しているという実感は全くありませんし、小学校での問題行動等が増加傾向にあるということも耳にします。 言うまでもなく、いじめは許されない行為です。いじめの早期発見のためにも、子供たちのより近くで、小さな声にも耳を傾け、早期対応のために全力を尽くさなければなりません。 また、すぐに効果が出るものではありませんが、未然防止に向け、子供たちの人を思いやる心、豊かな心を育てる教育もあわせて進めていく必要があります。 いじめへの対応について、心の教育を含め、今後どのように取り組まれるのか、とても難しい課題ではありますが、県教委の御所見をお伺いいたします。 以上で一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 岡村議員の御質問のうち、私からは、西日本衛星防災利用研究センター開設に伴う新産業の創出と雇用拡大についてのお尋ねにお答えします。 東京一極集中を是正し、地方への新しい人の流れをつくるため、私みずから政府機関の本県への誘致に取り組んできた結果、先月、お示しのとおり、JAXAの西日本の拠点となる研究センターの設置が実現をしたことは、大きな成果であると考えています。 この研究センターは、地球観測衛星「だいち二号」が観測する地形や気象等の膨大なデータを保有することから、これらのデータを防災を初め、農業や水産、環境分野など、さまざまな用途に利活用することが可能になります。 このため私は、こうしたメリットを最大限に生かし、衛星画像データの解析能力、実績を有する山口大学や、情報関連ビジネスの創出に意欲的な民間企業と連携し、新たな産業の創出や雇用の場づくりにつなげてまいりたいと考えています。 具体的には、まず、水や植物の有無、地表や海面の温度、地表の高さなどのさまざまな衛星観測データについて、民間企業が活用可能な画像データに編集・加工するためのプログラムの開発を、山口大学と連携して行うこととしています。 また、こうしたプログラムをもとに、例えば、植物の生育状況や漁場の予測、ヒートアイランド現象の調査など、具体的な利活用方策について検討するため、近く、県産業技術センターを中心に、県内の情報関連企業や山口大学等が参画する衛星データ解析技術研究会を設立することとしています。 この研究会においては、まず、セミナー等の開催により、県内企業に、衛星データとはどのようなものか十分に知っていただいた上で、ソフトウエア開発等に必要な基礎技術が習得できる技術研修会を開催する予定です。 さらには、衛星データの産業利用に向け、県内の農業団体や漁業団体、環境団体などへのニーズ調査を行うことで、県内産業の特徴を踏まえた情報関連サービスの開発など、新たなビジネスモデルの構築に向けて取り組むこととしています。 私は、JAXAの本県進出を契機に、山口大学や県内企業等との連携により、衛星データを活用した新たな情報関連産業の育成・集積を図るとともに、こうした取り組みを通じて、雇用の創出にもつなげるよう取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 前田土木建築部長。    〔土木建築部長 前田陽一君登壇〕 ◎土木建築部長(前田陽一君) 土木建築行政についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、建設業者の育成についてです。 本県建設産業が、就業労働者数の大幅な減少など厳しい状況にある中、県では、将来的にも地域を支え得る足腰の強い建設産業の構築を目指し、さまざまな取り組みを行っているところです。 このうち、まず、建設業における若手後継者の育成については、若年技術者・技能者の確保、定着ができるよう、総合評価において若手技術者に対する優遇措置を行ったほか、設計労務単価の引き上げなどを通じた就労環境の改善、高校、大学への出張セミナーなどによる建設産業の魅力発信を行っており、今後もこうした取り組みを引き続き行うとともに、入札参加資格においては、若手技術者・技能者の採用の誘因となる項目の評価を拡大し、本年七月から施行することとしています。 次に、公共工事における現場管理のあり方の改善については、限られた技術者を効率的に活用できるよう、複数の工事を同一の技術者が兼任できる範囲を広げるとともに、専任を要しない工事の請負金額の上限を引き上げるなど、現場技術者の専任要件を緩和しています。 こうした中、現在、国では、受注工事の契約工期が重複する場合においても、受注者が工事開始日を調整することにより、同一の技術者を引き続き配置できる制度を導入しており、県としても、今後、その制度の効果や課題を踏まえ、現場管理のあり方を検討してまいります。 また、発注時期の平準化については、年間を通して安定した工事量が確保できるよう、これまでも年度当初からの早期発注や、国の経済対策を活用した補正予算等により、切れ目のない発注に努めているところです。 今後は、年度末に工事量が集中することを極力避けるため、平準化を目的とした債務負担行為の活用を引き続き検討してまいります。 県としては、こうした取り組みにより、地域の建設産業の育成・支援に努めてまいります。 次に、三世代同居・近居の推進についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、三世代同居・近居の状況をどのように把握し、どの程度、推進をするのかとのお尋ねについてです。 平成二十二年の国勢調査によると、本県の三世代同居率は六%で、都道府県平均の九・七%に比べて、低い状況です。近居については、明確な定義がなく、統計データはありませんが、平成二十五年の内閣府調査によると、三世代同居・近居を理想の住まい方とする回答が五二%と半数を超える結果となっています。 三世代同居・近居の推進は、子育てしやすい環境づくりの一環であり、定量的な目標を定めておりませんが、できる限り同居・近居世帯をふやしてまいりたいと考えています。 次に、三世代同居や近居の推進はまちづくり政策でもあり、その推進に必要な人材の育成、広域的・専門的支援など、望む人がおのずと選択できる政策の展開が必要ではないかとのお尋ねについてです。 三世代同居・近居の推進に当たっては、地域の空き家の利活用に資する中古住宅の活用や、地域外からの移住者であるUJIターン者への助成額の加算などを行っており、人口減少等が進む中、地域再生を図るためのまちづくりにも資するものと考えています。 また、三世代同居・近居の推進については、国や県、市町でさまざまな支援制度が展開されており、これらを有効に組み合わせて活用するためには、専門的な支援が必要であることから、これらの支援制度に精通した人材を育成してまいります。 さらに、パスポート制度においては、工務店や不動産業者を初め、引っ越し業者や金融機関など、さまざまな事業者が希望する方に広域的・専門的な支援を行っているところであり、今後は、協賛企業の追加や発行窓口の市町への新設など、支援の充実を図ってまいります。 県としては、今後とも、子育てしやすい環境をつくるため、地域再生のまちづくりにもつながる三世代同居・近居の取り組みを進めてまいります。 次に、宇部湾岸道路の延伸についてのお尋ねにお答えします。 本道路は、地域高規格道路、山口宇部小野田連絡道路の一部を構成するものであり、東須恵インターチェンジから西中町インターチェンジまでの区間については、国道百九十号の藤山交差点や流川交差点などにおける慢性的な渋滞を緩和するため整備を進め、平成二十五年三月に開通させたところです。 一方、西中町インターチェンジから東側の山口宇部空港までの未着手区間、約五キロメートルについては、港湾や空港へのアクセス強化等に資するものですが、住宅密集地などを通過せざるを得ないことから、膨大な事業費を要することが想定されており、将来の交通需要や社会経済情勢等を踏まえ、整備について慎重に判断していく必要があります。 この未着手区間のうち、お尋ねの西中町インターチェンジから新町インターチェンジまでの約一・五キロメートルの区間については、開通区間とあわせて一連の区間として都市計画の決定をしており、お示しのように、宇部市中心市街地の渋滞緩和や宇部港へのアクセスの改善などの効果が見込まれることから、延伸が必要であると認識しています。 県としては、引き続き、市との調整を図るとともに、財政状況を踏まえながら、事業着手の可能性を検討してまいります。 ○議長(柳居俊学君) 阿野商工労働部長。    〔商工労働部長 阿野徹生君登壇〕 ◎商工労働部長(阿野徹生君) 県外進学者に対する県内就職の促進についてのお尋ねにお答えします。 お示しのとおり、卒業生の七割以上が県外大学に進学している本県においては、将来を担う若者が県内に就職し、活躍できるよう、Uターン就職の促進に向け、学生一人一人に県内企業の魅力や就職関連情報をしっかりと届けることが重要です。 このため、まず、高校の卒業時に、県若者就職支援センターへの登録を呼びかけるリーフレットを配付するなど、大学在学中の早い時期からのセンター利用を促進しています。 また、これまで、本県出身学生の多い関西圏を中心とした二十大学と就職支援協定を締結したところであり、学内での就職セミナーや県内での保護者会に積極的に参加し、県内企業情報の提供を行っています。来年度からは新たに、高校の同窓会等の本県ゆかりの組織を活用して、県出身の学生に若者就職支援センターの登録を促すとともに、県内企業情報も提供することとしています。 さらに、学生と県内企業のマッチングを進めるため、福岡と広島において女子学生向け就職ガイダンスを開催するとともに、九州各県と共催する合同企業説明会を東京で開催しています。加えて、来年度は、これまで大阪で実施してきた本県主催の就職説明会を、東京でも開催することとしています。 また、県内企業の魅力情報を効果的に発信するため、新たに、業界別に主な企業の概要が一覧できる、やまぐち業界マップや、山口と東京における職業人生の収支や暮らしやすさ等を比較したリーフレットなどを作成します。これらの情報については、協定締結大学や、福岡、広島など近隣の県外大学などに配付し、学生の県内就職の動機づけを強化してまいります。 県としては、今後とも、一人でも多くの県外学生が本県を支える人材として活躍できるよう、関係機関と緊密に連携し、県内就職の促進に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 藤井健康福祉部長。    〔健康福祉部長 藤井勉君登壇〕 ◎健康福祉部長(藤井勉君) 青少年の健全育成についてのお尋ねにお答えします。 現在、子供たちのそばには、性的感情等を著しく刺激するおそれのある出版物が氾濫しており、青少年の健全な育成を阻害することが懸念されています。 このため、県では、山口県青少年健全育成条例の改正により、有害図書類の包括指定や区分陳列方法などを定め、青少年に有害な環境の浄化に向けた取り組みを進めているところです。 具体的には、有害図書類の規制を実効あるものとするため、毎年度、県下一斉に、こども環境クリーンアップ活動を実施し、県が任命する立入調査員が取扱店舗を点検しており、違反があれば、改善されるまで個別に指導を行っています。 さらに、子供たちが日常的に利用するコンビニエンスストアでは、有害図書類を目にする機会もあることから、関係団体との定期的な意見交換の場を設け、条例遵守の協力依頼等を行っています。 こうした取り組みの結果、区分陳列に関する具体的基準を定めた条例施行後の平成十九年度には、四割を超えていた個別指導店舗が、現在は新規出店の数店舗に減少するなど、一定の成果を上げているところです。 今後は、クリーンアップ活動において、単なる陳列方法の指導にとどまらず、青少年に有害な環境の浄化を目的とする条例の趣旨の徹底を通じて、お示しの有害図書類の自主的な陳列排除に向けた機運の醸成に努めてまいります。 県としましては、青少年の健全育成に向け、引き続き、市町や警察、関係団体と連携して、有害図書類の規制にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 浅原教育長。    〔教育長 浅原司君登壇〕 ◎教育長(浅原司君) 教育行政についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、小学校における国語力の育成についてです。 ことし二月に文部科学省から公表された次期学習指導要領の案においては、小学校三・四年生で外国語活動、五・六年生で外国語科を導入し、外国語によるコミュニケーション能力を高めていくことが示されておりますが、そのためには、お示しのとおり、義務教育の初期段階を担う小学校教育において、国語力をしっかりと身につけていくことが重要であると考えております。 これまでも、各学校では、言語がコミュニケーションや感性、情緒の基盤であることを踏まえ、国語科を中心に、音読や話し合い活動など、子供たちの言語能力を高める学習活動に取り組んでおり、県教委では、指導資料を作成し、研修会や学校訪問での指導・助言を通して、こうした各学校の取り組みを支援してきたところです。 今後は、言葉を直接の学習対象とする国語科をかなめとして、各教科の特性に応じた言語活動の一層の充実を図るために、今年度改訂した指導資料「授業づくりと評価の手引き」を活用し、子供たちが意見交換したり、学んだことから考えを深めたりする学習活動を推進することとしております。 また、やまぐち型地域連携教育の仕組みを活用し、家庭と連携した読書習慣の確立や、地域ボランティアによる読み聞かせなど、子供たちが多様な言葉や表現と触れる取り組みを促進してまいります。 県教委といたしましては、市町教委と連携し、子供たちの言語能力やコミュニケーション能力を育む教育活動の一層の充実に向け、積極的に取り組んでまいります。 次に、いじめへの対応についてです。 いじめはどの子供にも、どの学校にも起こり得るという認識のもと、心の教育の推進等による、いじめの未然防止や、早期発見・早期対応に組織的に取り組むことが重要です。 このため、各学校においては、いじめを初期の段階から把握することができるよう、きめ細かな児童生徒の行動観察に加え、定期的な教育相談や生活アンケートを実施するとともに、スクールカウンセラー等の専門家と連携して、いじめの早期解決に努めているところです。 こうした中、県内でも、いじめ事案が複雑化・深刻化している実態があることから、県教委では、より早期の発見ときめ細かな対応のため、各種研修会の開催等により、教職員の認知力・対応力をさらに向上させるとともに、来年度、スクールカウンセラーの配置を見直し、全ての小中学校を計画的に訪問する体制を整え、同一中学校区内の学校には同じカウンセラーが訪問することにより、義務教育九年間を見通した切れ目のない相談支援体制を構築します。 また、お示しのように、心の教育を通したいじめの未然防止が重要であることから、今年度一○○%設置となった、コミュニティ・スクールの仕組みを生かして、地域ゆかりの人材が思いやりや規範意識を育む講話等を行うこころの先生の派遣や、ふるさとの自然や歴史、伝統文化等に触れる新たな取り組みを推進し、児童生徒の豊かな心の育成を図ってまいります。 県教委といたしましては、市町教委はもとより、学校、家庭、地域、専門家等と一体となって、社会総がかりでのいじめ根絶に向けた対策にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 井上剛君。    〔井上剛君登壇〕(拍手) ◆(井上剛君) 皆さん、こんにちは。民進・連合の会の井上剛です。早速ですが、通告に従い一般質問させていただきます。 まず初めに、平成二十八年度の予算状況と来年度の予算編成についてお伺いいたします。 我が国の平成二十八年度当初予算は九十六兆七千二百十八億円でしたが、昨年十月に三兆二千八百六十九億円、そして、ことし一月に二千百三十三億円追加され、本年度の一般会計予算は百兆二千二百二十億円にもなりました。これらの追加補正は、災害対策経費もありますが、政府が未来への投資としてうたう経済対策二十八兆一千億円の第一弾の補正予算であります。 不足する財源を建設国債二兆八千五百億円、税収下振れを補う赤字国債一兆七千五百億円を追加発行し、国債発行総額は四年ぶりに増加しました。また、金利の低下で浮いた発行済み国債の利払い費五千二百二十二億円も充てられています。 日本の長期債務は、国だけで八百兆円を超える状況にあり、一般の家庭なら、金利で返済が楽になったのなら、その分を元本の返済に回すのが常識的な発想だと考えます。 当初の予算では、税など国の収入は六十二兆三千億円、政策経費は七十三兆一千億円、つまり基礎的財政収支は約十一兆円の赤字となっていましたが、税収の伸び悩みやこれらの補正によって、約二十兆円に悪化しました。消費税増税の再延期により、税収の大幅増は当分見込めません。 私は、昨年の六月議会でも、こうした状況では、財政健全化目標としていた国、地方を合わせた基礎的財政収支の二○二○年度黒字化という国際公約の実現は一層遠のくと指摘しましたが、一月二十五日、内閣府はそれが八・五兆円の赤字になるとの試算を示しました。 借金を重ねた上で行う事業を見ますと、保育所の整備支援、保育士や介護職員の待遇改善、中小企業の資金繰り支援策などもありますが、金額ベースで中心を占めるのはやはり公共事業です。予算とは別に、リニア中央新幹線の延伸前倒しや整備新幹線の建設に三・六兆円の財政投融資も追加されています。 確かに産業力強化に向け、二十一世紀型のインフラ整備も重要とは考えますが、進む人口減少や個人消費の弱さが続く現状を見れば、子育て負担軽減のための世帯課税の導入、持続的な賃金アップ対策、国民が将来を安心し貯蓄でなく消費意欲を高められる社会保障対策など、財政支出の構造変革が急務だと考えます。 そして十一月、山口県を預かる知事として、平成二十九年度予算編成及び政策決定などに関して、「活力みなぎる山口県」の実現に向けて、チャレンジプラン、地方創生推進など、四十二項目を重点要望とし、国への提案・要望を行いました。 一点目として、今回、知事として行財政構造改革を発表されましたが、こうした平成二十八年度の国の予算状況に対し、知事はどのように感じておられるのか、そして、どう来年度の国への予算要望や県の予算編成につなげたのか、お伺いいたします。 二点目は、県の予算執行についてお伺いいたします。 今年度の当初予算は、二百二十億円という大変深刻な財源不足から、最終的には財源調整用基金を七十億円取り崩しました。そうした中、知事は、いろんな災害などを踏まえた対応として百億円が必要と考え、財政状況自体は深刻だとし、それを回復できるように、執行段階で不要不急なものがあれば執行しないとか、事業を実施していく上でもチェックしていく必要性を述べられました。 今までの予算執行状況を見てみますと、国と呼応し、六月に四億四千七百万円、九月に百二十八億三千百万円、十一月に六十一億二千八百万円を追加し、その財源は、国庫支出金ほか、新たな県債発行七十六億六百万円、繰越金から十四億一千七百万円を支出しています。そして、毎年のことですが、この二月に中小企業制度融資など、事業の最終見込みによる所要の補正として三百七十三億三千万円を減額補正しました。 県の予算執行上は仕方ないのかもしれませんが、毎年二月に最終的な事業見込みから減額補正を行っています。当然、執行段階での事業の見直しや厳しいチェックも行ってきた結果だとは思いますが、どのようにやってこられたのか、その状況は明確ではありません。県の現在までの、財政調整基金の早期復旧に向けた予算執行に対する取り組み状況をお伺いいたします。 あわせて、今年度の予算執行の取り組み状況とその効果を踏まえ、どう来年度の予算編成につなげ、どのように来年度は厳格な予算執行をされていかれるのか、お伺いいたします。 三点目は、財政健全化への道筋についてです。 来年度の予算編成にあわせ、五年後をめどに、基金の取り崩しに依存しない自立した財政構造を確立する行財政構造改革を発表されました。 私は議員になった当初から、県の財政状況から、中長期財政健全化計画の作成と公表を提言してきました。 山口県の人口は、今後十年間で約一一%の十六万人減少、中でも県を中心的に支える生産年齢人口は約一四%の約十一万人が減少し、二十五年後には約三二%の二十五万人も減少する見込みです。将来に過度な負担を残さないためにも、県債残高引き下げ計画を示すべきと考えます。 県として発行を決定する一般分の残高は、平成十四年度末をピークに減少させてきていますが、平成二十九年度末は当初予算ベースで約七千四百八十六億円の予測であり、今年度から二億円減少にとどまります。 「元気創出やまぐち!未来開拓チャレンジプラン」の中で、活力指標である一般分の県債残高の目標値は、減少させるとなっているだけです。そして、このたび、厳しい財政から三十年債も導入され、利子の負担はふえてしまいます。 先ほどの生産年齢人口の予測から見て、将来の方々も同等の負担とするならば、一般分の県債残高は毎年一・三%、約百億円は減らさなければなりません。 意識の差が結果の差。目標ありて結果あり。これは、昨年のリオ五輪で残り二秒の大逆転で金メダルを獲得した登坂絵莉さんが、小学校の卒業文集で書いていたものです。 この苦しい財政を立て直すには、知事の強い思いとリーダーシップが必要です。県として、県債残高引き下げ計画を含め、財政健全化の中長期の具体的目標を明確にすべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 あわせて、財源確保対策として、人口減少などに的を当てた目的税の導入も検討してはと思いますが、御所見をお伺いいたします。 四点目は、ふるさと納税についてです。 都会に人が集中しているから、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入らない。そこで、自分を育んでくれたふるさとに、自分の意思で幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないかということから、ふるさと納税制度は平成二十年度から開始されました。 この制度では、自分の生まれ故郷に限らず、各自治体がホームページなどで公開している、ふるさと納税に対する考え方や、集まった寄附金の使い道などを見た上で、応援したい自治体を選んで寄附することができます。 その意義が三つありますが、その中に、自治体が国民に取り組みをアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。そして、選んでもらうにふさわしい、地域のあり方を改めて考えるきっかけにつながるとあります。 現在、過熱した返礼品のあり方について是正を求める声は上がってはいますが、貴重な財源となると同時に、全国に特産品をPRできると、八二%の自治体がその制度そのものは評価しております。 各都道府県への状況を見てみますと、回答のあった四十一道府県だけで、平成二十八年度は十二月末までに、前年度四十四道府県と比較すると、件数は八%増の十万百六十四件、金額では二・六倍の七十億一千百万円にもなっています。震災で大きな被害を受けた熊本県や鳥取県が大幅に伸ばしたこともありますが、国民の関心の高まりや各自治体の積極的なPRもあります。 その中、山口県を見ますと、平成二十八年度は十二月末までで、件数は前年度比三四%減の五十五件、金額も六八%減の二百五十三万円と件数、金額とも全国ワーストクラスであります。 平成二十七年に他県などに寄附したことにより、平成二十八年度に本県の県民税として控除された額は一億九千二百万円にもなり、県財政で見ますと、約一・九億円の赤字であり、来年度はさらにそれが広がると予測されています。 財政的にも厳しい中、日本一の取り組みを掲げながら選んでもらえていません。県のホームページにある、ふるさと納税のお願いを見ても、どのように寄附を使うのか、また、使ってきたかなどの情報が、他県に比べると大変寂しいものがあります。 こうした制度でも、選んでもらえる自治体になることが厳しい財政を支えていただくことにもなりますし、来県のきっかけや県特産品の販路拡大にもつなげることができると考えます。ふるさと納税制度に対し、県はどのように感じ、今後、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援についてお伺いいたします。 財務省が発表した二○一六年の国際収支を見ますと、海外との物やサービス、投資の取引状況を示す経常収支は二十兆六千四百九十六億円の黒字で、比較可能な一九八五年以降で二番目の高水準でした。その大きな要因は、貿易収支が五兆五千七百九十三億円の黒字と、東日本大震災以降、初めて黒字に転化したことです。 しかし、トランプ大統領が就任し、早速、TPPからの永久離脱を表明し、経済界からは国際秩序の不確実性が高まり、経済の先行きが不透明になったとの意見が多く出ています。 しかし、資源の乏しい我が国はものづくりをきわめ続け、付加価値の高い製品をつくり続けることが国益、そして国内雇用を守るためには最も重要であると考えています。 また最近では、国内への生産拠点の回帰も見られており、国内の中堅・中小企業の生産性改善の必要性が高まっています。 我が山口県は、一事業所当たりの製造品出荷額や従業員一人当たりの製造品出荷額、従業員一人当たりの付加価値額でも、全国一位であり、まさに全国トップのものづくり県であります。そこで、ものづくりを牽引すべき県として、三点お伺いいたします。 一点目は、企業とタイアップしたものづくり産業の基盤強化についてです。 地域のものづくり産業が現在のグローバル競争を生き抜いていくには、最先端の技術開発や高機能製品の研究開発していくことは必要です。しかし、その基本となるものは、日本のものづくりの基盤である三ム(ムリ・ムラ・ムダ)排除と五S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)そのものだと考えています。 こうした取り組みには、安全、品質、コスト、納期などの直接的効果だけではなく、日々の改善活動の継続を通じて、製造現場における技術蓄積や人材育成につながり、企業の問題発見、解決能力が蓄積され、工場独自の文化の形成、企業の持続的競争力の確保になります。県内を見ましても、大企業を中心としてこうした改善活動は実施されています。 しかし、企業だけでなく、県内のあらゆる産業にも展開できるような、知恵を使ったすばらしい改善事例や考え方は、ほとんどが企業内にとどまっています。コンビナート連携は開始されましたが、類似企業だけの集まりです。 私は、県内の企業が持つすばらしい改善事例や考え方をオープンにしていただき、県内全てのものづくりのレベルアップにつなげていくことが、山口県のものづくり産業の基盤強化になると考えます。 こうした活動は、地域貢献を考える企業だけでは展開は難しく、県がイニシアチブをとるべきと考えます。 県では、やまぐちものづくり.netを開設し、ふるさと企業を紹介していますが、ものづくり技術や改善事例を簡単に知る方法はありません。中小企業を中心とした支援に向け、企業とタイアップした改善事例などが簡単に検索できる仕組みをつくればと考えますが、県として、ものづくり産業の基盤強化をどうされるのか、御所見をお伺いいたします。 二点目は、中小企業、零細企業における生産性向上支援についてです。 山口県の毎月勤労統計の現金給与総額は全国平均を下回っており、中小企業、とりわけ零細企業の収益力の向上は不可欠です。 先ほど提案した仕組みができれば、中小企業の方もそういった改善は知ることができます。しかし、地域の中小企業、零細企業では、その必要性を認識し継続するのは大変難しいものです。 中小企業と大企業の製造業における労働生産性の比較では、労働力の約七割を占める中小企業の労働生産性の平均値は、大企業における平均値の四割にとどまっており、国として総付加価値額を引き上げるためには大企業だけでなく、中小企業の労働生産性も向上させることが重要です。 こうした状況に対応するため、経済産業省では二○一五年度から、各地域に、ものづくり企業OBなどを改善活動の指導者(インストラクター)として養成するカイゼンスクールを設置し、地元の中小企業などに改善インストラクターを派遣して、現場の生産性向上を図るカイゼン指導者育成事業、ものづくり中核人材育成事業を展開し、平成二十七年度には十一、平成二十八年度には十七の取り組みを後押ししています。中国地方で設置しているのは広島県だけです。 改善活動は、継続は力なりではなく、力になるまで継続するが大事です。県内の時間的・経済的にも乏しい中小企業、零細企業に対し、保有する技術・技能の継承や育成や生産性向上を図るには、ものづくり企業のOB人材を継続的に派遣し、一緒になって汗し、活躍してもらうことが有効だと考えます。 県として、県内で頑張っている中小企業、零細企業における生産性向上支援にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 三点目は、企業と学生、保護者との出会いの場づくりです。 景気の回復から、労働力の不足感が出ています。従業員規模別の大卒者の求人倍率で見てみますと、従業員が三百人以上の企業においては、求人倍率が一倍程度で推移し、求人数と求職者数が均衡している一方で、三百人未満の企業においては、三倍から四倍で推移し、近年では四・五倍と上昇傾向にあります。 従業員規模別高校卒業者の充足率を見ましても、千人以上の規模の企業は充足率が一○○%を超えますが、規模が小さくなるにつれ顕著に充足率が減少し、二十九人以下の企業では充足率が約三八%となっており、中小企業・小規模事業者が人材を十分に確保できていないことがわかります。 私は以前、東大阪市の町工場が集まってつくった人工衛星「まいど一号」の開発プロジェクトの発起人である青木豊彦氏とお話をさせていただいたことがあります。ふとしたきっかけで青木さんの工場を見学した、いわゆる一流大学の学生が、大企業に行ける実力がありながら、給料も安く、まさに三K職場と言える自分の会社に就職した話をしてくれました。 就職してすぐに大学の仲間とコンパがあった。女の子たちを前に、友人たちが誇らしげに就職した大企業名を言って自己紹介。女の子たちが拍手する中、いよいよその子の番。その子は、友人たちに負けない声で就職した会社名を言うと、女の子たちはざわつき、友人ももう座れと言いたげな顔でその子を見ると、「皆さん、知らないでしょう。私も知りませんでした。でも、すごくよい会社です。今は知らなくてもいいのです。何年後かには、皆さんに知ってもらえる会社になります。そうなるように私も頑張りますから」と言うと、女の子、そして友人からも大きな拍手が起きた。そう話す青木さんの顔は涙でぐちゃぐちゃでした。 青木さんの会社は、その当時、既に世界的航空機メーカーであるボーイング社の認定工場であり、世界的に誇れる技術を持った会社でしたが、従業員は三十人足らずのまさに中小企業。大企業志向の強い学生には見向きもされず、若き技術者の獲得に苦労されていました。その状況は、今、世界的に誇れる技術を持つ県内の多くの中小企業も同様です。 就職情報サイトであるマイナビの調査では、約六割の保護者が就職活動に関与し、企業の一六・五%が保護者の反対で内定を辞退された経験があると答えており、就職する学生にとっては、保護者の意見も大きなウエートを占めています。 したがって、学生のみならず、保護者の方に、県内には世界に誇れる技術を持ち、財務体質的にもすばらしい会社があることを知ってもらうことが大事です。そうした中小企業と学生及び保護者の方との出会いの場づくりにどのように取り組むのか、お尋ねいたします。 次に、外国人旅行客増加に伴う家畜伝染性疾病の発生防止についてお伺いいたします。 我が国は、二○○三年に観光立国の実現を掲げ、二○一六年三月には、明日の日本を支える観光ビジョンを策定しました。その中で、観光先進国への新たな国づくりに向けて、三つの視点と十の改革を示し、新たな挑戦目標として、二○二○年に訪日外国人旅行客数四千万人、地方部での外国人延べ宿泊者数七千万人などを決めました。 そして、二○一六年には、十二月末で年間の訪日外国人旅行者数が約二千四百四万人と、初めて二千万人を突破するなど好調に推移しています。 本県においても、二○一五年における外国人観光客数は二十二万五千二百三十三人と、前年比で八二%も増加し、宿泊者数で見ましても十万九千四百十人で、前年よりも九三%もふえました。 県として、民間と一体となった推進体制の整備や現地マスメディア、インターネットを活用した魅力発信を推進してきた成果があらわれているものであり、知事をトップとして積極的な誘客活動を推進してきております関係各位の御尽力に敬意を表します。 昨年十一月二十八日からは韓国・仁川国際空港との国際定期便が就航し、昨年のクルーズ船の寄港も一昨年の一・五倍となる三十回にもなり、今後、さらなる外国人旅行客の増加が期待できます。 そこで、今回は、訪日外国人旅行客増加に伴う家畜伝染性疾病の侵入に対するリスク管理についてお伺いいたします。 平成十二年以降に口蹄疫、牛海綿状脳症、高病原性鳥インフルエンザが相次いで発生しました。中でも、平成二十二年度の宮崎県での口蹄疫、それに続く九州から関東に至る九県二十四農場に及ぶ病原性鳥インフルエンザの発生は、我が国、家畜衛生史上類を見ない甚大な被害をもたらしました。全国の関係者の懸命な努力によって、終息はいたしました。 山口県においても、平成二十六年十二月に長門市で病原性鳥インフルエンザが発生しましたが、関係各位の迅速な対応により早期に終息しました。ことし一月九日、山口市で見つかったカモ科のホシハジロ一羽の死骸からA型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ましたが、早期な監視体制の整備などで大事には至りませんでした。 高病原性鳥インフルエンザについては、海外からの人や物を介して農場に直接ウイルスが持ち込まれた可能性を示唆する事実は認められてはいませんが、家畜などに対する悪性伝染病侵入リスクは、人の交流や、物のグローバル化、野生動物との接触機会増加により、以前より高まっているとの指摘があります。特に、口蹄疫発生国からの訪日旅行客が全体の六割を占める昨今、最大限の警戒が必要と感じています。 韓国では、二○一四年七月に、三年三カ月ぶりに口蹄疫の発生が確認されて以降、発生が拡大しており、ことし二月以降、立て続けに牛への感染も確認されています。 我が国では、平成二十二年の口蹄疫が発生した翌年に家畜伝染病予防法を改正し、発生の予防、早期発見・通報、迅速・的確な初動対応の三点に重点を置き、空港などにおける広報・周知活動や国際線が到着する空海港において、全ての入国者に対し靴底消毒を実施しています。 口蹄疫が発生した宮崎県では、今でも国内線で到着した方にも靴底消毒を実施しています。外国人観光客の多い北海道では、六カ国語対応した口蹄疫侵入防止リーフレットやポスターの掲示や配布に加え、動物園や観光牧場にも出入り口での靴底消毒をお願いしています。 私は、こうした積極的なリスク管理が旅行者や県民全体の意識アップにつながると感じています。 県では、家畜伝染病が発生した場合、全庁体制で体系的な対応を行うための防疫措置の基本的指針を策定、また、防疫体制の整備として各協会と協定を結んでおられます。しかし、家畜伝染病予防法にある発生の予防に対する県の取り組みが見えません。 今後も多くの外国人旅行客が来県することが予測される中、家畜伝染性疾病の侵入に対するリスク対応、発生予防にどう対応していくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、港湾の活用についてお伺いいたします。 長らく貨物輸送量の九割以上を運んでいたトラック輸送が、現在、ドライバー不足という構造的問題に直面しています。外国人観光客増加で、観光バス業界も運転手の獲得に必死で、長距離トラック運転手の獲得はとても厳しい状況です。 ネット社会の広がり、コンビニの広がりで、物を買うことは便利になりましたが、それを届けるには物理的に運ぶしか手段はありません。そうした中、メーカーなどの荷主企業では、物が運べなくなることへの危機感が高まっています。 製販のサプライチェーンをつなぐ物流機能の不全が経済活動に及ぼす影響は大きく、産業界では今、輸送手段をトラックから他の輸送機関に移すモーダルシフトの機運が高まっています。 あわせて、今後予測される原油の高騰や環境問題などにより、トラック輸送のコスト上昇が想定されていることから、物流のあり方の見直しが今後さらに加速すると考えられます。 国においても、平成二十七年二月に交通政策基本計画が閣議決定され、モーダルシフトの推進が明記されるとともに、二○二○年における具体的な指標も設定されています。 これまでは、主としてJR貨物を活用した整備が行われてきましたが、近年、内航海運としてRORO船やカーフェリーを利用して、トラックそのものを航送するモーダルシフトも数多く利用されています。鉄道に比べて速達性には劣りますが、単にトラック輸送するよりも単位輸送量が大きく、CO2の排出量も約五分の一であります。トラックごと運ぶため、荷の積みかえの時間と手間がかかりません。また、トラック運転手の過労運転防止にもなります。 近年では、ヘッドレスシャーシ無人航送や、トラック運転手は乗船しない無人トラック航送も実施されており、今後のトラック運転手不足対応の切り札となるとも言われています。 以前、私が一般質問でモーダルシフト移行などの動きを示し、今後の港湾整備について質問したとき、県は、物流の拠点となる港湾の機能強化や施設整備、港湾の利用促進に取り組むこと、また、国の全国調査では、依然として県内の港湾が十分に利用されていない状況にあることから、ポートセールス活動を強化していく旨の回答をいただきました。先ほどお示ししたフェリーやRORO船での運搬は、県内では岩国港に週二便あるくらいで、北九州港に比べると圧倒的に少ないものです。 県内には優良な港が多くあり、今後のモーダルシフトの推進を考えると、港湾の整備や港湾につながる道路網の整備を図ることはもちろんですが、これらに加え、運航事業者などに対するポートセールスなど、積極的な働きかけを行うことが必要と考えます。県としてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の一般質問を終らさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔井上議員の発言中、柳居議長にかわり、塩満副議長が議長席に着く〕 ○副議長(塩満久雄君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 井上議員の御質問のうち、私からは、国の予算状況と来年度の国への予算要望、県の予算編成についてのお尋ねにお答えします。 我が国経済は、政府のこれまでの経済財政政策によって、雇用・所得環境が着実に改善するなど、経済の好循環が生まれているとされています。 そうした中で、国は、引き続き、経済再生なくして財政健全化なしを基本に、六百兆円経済の実現と平成三十二年度の財政健全化目標の達成、この双方の実現を目指す方針を堅持しているところです。 お示しの国の経済対策も、この方針のもとで、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる取り組みを中心に、構造改革と未来への投資の加速を目的として決定されたものです。 私としては、こうした国の取り組みが早期に成果を上げ、経済の好循環をより確かなものとするとともに、経済成長を通じた税収の増加が、財政健全化と持続可能な財政構造の確立につながることを強く期待しています。 一方、本県においては、極めて厳しい財政環境の中、未来を見据えた県づくりをしっかりと進めていくため、将来を支える持続可能な安定した財政基盤の確立と、人口減少問題等に対応したチャレンジプランの目標突破という二つの目標を着実に実現していかなければなりません。 そのためには、国に対しても、チャレンジプランの目標達成や総合戦略の推進に向けて、必要な政策や財源措置の充実等を求めていくことが重要です。 このため、昨年十一月に、国の来年度予算編成等に当たり、四十二項目に及ぶ政府要望を実施し、関連事業予算の確保など、多くの成果を上げたところです。 これらを踏まえ、県の来年度当初予算では、行財政構造改革の推進とチャレンジプランの目標突破等を柱に掲げ、中長期的な視点での財政基盤の強化、立て直しに取り組むとともに、国の財源措置を積極的に活用して、施策重点化方針に基づく事業に重点的・集中的に予算措置したところです。 私としては、「活力みなぎる山口県」の実現に向け、国の政策とも連携しながら、財政健全化と将来を見据えた県づくりの推進の両立に、引き続き全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(塩満久雄君) 池田総務部長。    〔総務部長 池田豊君登壇〕 ◎総務部長(池田豊君) 今年度の予算執行状況と来年度の取り組みについて、二点のお尋ねにお答えします。 まず、財政調整基金の早期復旧に向けた予算執行の取り組み状況についてです。 財政調整基金など財源調整用基金については、安定的な財政運営のため、百億円への回復を目標に、予算執行を通じた残高の回復に努めてきたところです。 具体的には、年度当初より、内部的経費である旅費や需用費等の物件費について、予算額の一○%を執行留保するとともに、各事業の実施に当たっては、最小の経費で最大の効果を念頭に、事業の実施状況の点検、評価を通じた適切な見直し等を図り、より効果的・効率的な執行に努めてまいりました。 こうした結果、二十七年度の決算剰余金と合わせ、二月補正で三十七億円の積み立てが可能となり、今年度末の基金の残高の見込みは百十億円となったところです。 次に、今年度の予算執行の取り組み状況等をどう来年度予算編成につなげ、どのように執行をするのかとのお尋ねです。 来年度の予算編成に当たっては、厳しい財政状況の中、今年度予算の執行状況等も踏まえ、各事業の実効性や費用対効果等を厳しく精査し、必要最小限の経費を計上したところであり、事業実施に当たりましては、行財政改革統括本部のもと、より厳格かつ効率的な予算執行に努めていくこととしています。 次に、財政健全化についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、県債残高引き下げ計画を含めた、財政健全化の中長期の具体的目標の明確化についてです。 このたびの行財政構造改革においては、中期的な目標として、五年後をめどに基金の取り崩しに依存しない、収支均衡した安定的な行財政基盤の確立を掲げたところです。 その実現に向けて、県の全事業にわたる徹底した見直しや総人件費の縮減、公共投資等の適正化に取り組むとともに、公債費の平準化についても、公債費や一般分の県債残高が減少基調を維持できるよう留意しながら進めていくこととしています。 本県財政は、国の予算や地方財政対策等に大きな影響を受けることなどから、現時点でこれ以上の具体的な目標を示すことは困難ですが、今後とも本県の財政状況や財政健全化の進捗について、お示ししていきたいと考えています。 なお、人口減少等に的を当てた目的税についてですが、財源確保対策としての新たな税負担の導入は考えておりません。 次に、ふるさと納税についてのお尋ねにお答えします。 ふるさと納税制度は、ふるさとへの思いや自治体のさまざまな取り組みを応援する仕組みとして創設されたものであり、本県においても、単なる財源確保としてだけではなく、本県に関心を持っていただき、山口県への応援や貢献をしてもらえるよう活用を図っているところです。 県内の市町においては、特産品などの返礼品を送付し、ふるさと納税のPRをされているところですが、県としては、そうした県内市町の取り組みとの競合を避けながら、制度本来の趣旨を踏まえ、本県の政策に賛同、応援していただける方からの寄附を呼びかけているところです。 また、本年度からは、寄附をされる方が子育て支援や農林水産物の販路拡大など、寄附金の使い道を選択できる、やまぐち県チャレンジ寄附金として、寄附額の増加につながるよう見直しを行ったところであり、その使途についても実績を公表することとしています。 今後とも、ふるさと納税の確保が図られるよう、本県の政策をより多くの方々に理解していただくとともに、ホームページの充実やイベント等におけるリーフレットの配布など、さまざまな機会を捉えてPRを行ってまいります。 ○副議長(塩満久雄君) 阿野商工労働部長。    〔商工労働部長 阿野徹生君登壇〕 ◎商工労働部長(阿野徹生君) 中小企業支援についてのお尋ねのうち、まず、企業とタイアップしたものづくり産業の基盤強化及び中小企業、零細企業における生産性向上支援の二点について、まとめてお答えします。 人手不足や国際競争の激化等、中小企業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、本県の経済や県民生活を支えてきたものづくり産業の成長・発展を図るためには、技術力のレベルアップのみならず、生産性向上による経営強化を図ることが重要です。 このため本県では、やまぐち産業振興財団のきめ細かなコーディネートや、商工会議所、商工会を通じた中小企業診断士や企業OBの各企業への派遣などにより、製造現場の生産性向上を含めた経営課題の解決に努めています。 こうした中、国では、お示しのカイゼンスクールによる支援に加え、今年度から、中小企業みずからが実施する生産性向上の取り組みに対する支援措置を創設したところであり、県においては、経営革新の取り組み支援を行う中で、その周知を図っています。 御提案の各企業における改善事例などが直接検索できる仕組みはこれまでありませんが、現在、やまぐち産業振興財団を通じて、各企業の技術や保有設備を検索できるウエブサイトの構築を進めており、この有効活用はコスト削減や時間短縮など、生産性向上にも寄与するものと考えています。 また、IoTの活用など、生産性向上やものづくりのレベルアップに資する取り組み等についても、ホームページや企業が交流する場などを活用し、積極的な情報発信に努めてまいります。 さらに、改善活動に精通した、ものづくり企業OBの商工会議所等への登録を促進し、積極的な活用を図るとともに、働き方改革を通じて生産性の向上等に取り組むモデル企業を専門家の派遣により育成し、その成果を県内企業に広く普及してまいります。 こうした取り組みにより、中小企業の生産性向上を支援し、ものづくり産業の基盤強化に努めてまいります。 次に、企業と学生及び保護者との出会いの場づくりについてのお尋ねにお答えします。 本県は、瀬戸内沿岸地域を中心に、化学、自動車、医療関係などの大企業が集積する全国有数の工業県であり、また、県内には高度なものづくり技術力を有する製造業を中心に、すぐれた中小企業が多く立地していますが、お示しのとおり、学生の認知度は必ずしも高くないところです。 このため県では、若者就職支援センターを中心に、こうした中小企業に関する情報を収集し、学生等に提供するとともに、就職説明会や職業紹介など、出会いの場の提供を行っています。 まず、高校生に対しては、職場見学や職場体験等のキャリア教育の推進や、県内企業の魅力を学ぶガイダンスを開催しており、来年度からは、生徒の求人開拓やマッチングを行う就職サポーターが、新たに二年生を対象に個別面談し、企業情報の提供などを行ってまいります。 また、県内学生に対しては、大学や企業などが協働して地元就職率の向上を目指すCOCプラス事業と連携し、企業経営者等を講師とするセミナーを開催するとともに、来年度は、インターンシップ参加学生に対する交通費等の助成対象に、長期間の課題解決型を追加し、学生が企業の魅力に触れる機会を拡大してまいります。 さらに、県外学生に対しては、就職支援協定に基づき、学内での就職セミナーや県内での保護者会に参加し、企業情報の提供を行うとともに、東京と大阪で就職説明会を開催するなどにより、企業と学生のマッチングを支援してまいります。 加えて、お示しのような、子供の就職に対する保護者の影響力の大きさを踏まえ、保護者に県内企業の実情を体感してもらうことで県内就職につながるよう、企業見学バスツアーを開催しています。 来年度は、子供の県内就職に向けたサポート情報等を掲載した保護者向けハンドブックを新たに作成するなど、保護者への情報発信についても取り組みを強化していきます。 県としては、引き続き、県内企業の情報提供や企業と学生及び保護者との出会いの場づくりに積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(塩満久雄君) 河村農林水産部長。    〔農林水産部長 河村邦彦君登壇〕 ◎農林水産部長(河村邦彦君) 外国人旅行客の増加に伴う家畜伝染性疾病の発生の防止についてのお尋ねにお答えします。 お示しのように、宮崎県の口蹄疫や全国的な高病原性鳥インフルエンザの発生状況等を踏まえ、平成二十三年に家畜伝染病予防法が改正され、防疫体制の強化が図られることとなったところです。 特に、発生の予防に係る対策について、国の役割である水際防疫の機能強化として、入国者への質問や携帯品の検査、消毒に関する権限が付与された一方、県が主体的に実施する農場での防疫方策の内容の充実が図られたことから、この改正法にのっとった着実な防疫対応に努めてまいりました。 こうした中、昨今のインバウンド需要の拡大に伴い、本県でも、韓国からの国際定期便の就航など、外国人旅行客が大幅に増加する状況にあるため、国とのしっかりとした連携のもとに、県としても、さらなる発生予防対策の強化に取り組む必要があると考えています。 具体的には、まず、国において、山口宇部空港と関門港を家畜伝染病予防法に基づく指定港とし、家畜防疫官を配置するとともに、家畜伝染病発生国からの畜産物の持ち込み検査や、入国者に対する靴底消毒等を実施することとされています。 また、県においても、こうした国の水際防疫に加え、さらなる家畜伝染病の侵入を防止するとの観点から、農場における関係者以外の立入制限や車両消毒、飼養衛生管理基準に基づく指導など、引き続き徹底した対応をとってまいります。 加えて、国と連携した外国人旅行客への家畜伝染病に関する広報用リーフレットの配布とともに、動物園等における靴底消毒などの衛生管理指導にも取り組むこととしています。 県としましては、こうした取り組みを通じ、畜産農家のみならず、県民の皆様の安心・安全が確保できるよう、家畜伝染病の発生予防に万全を期してまいります。 ○副議長(塩満久雄君) 前田土木建築部長。    〔土木建築部長 前田陽一君登壇〕 ◎土木建築部長(前田陽一君) 港湾の活用についてのお尋ねにお答えします。 物流の拠点である港湾の機能強化を図り、利活用を促進するためには、港湾施設の整備はもとより、周辺インフラとあわせた物流ネットワークの構築や、貨物の集荷に向けたソフト面での取り組みが重要です。 このため、ハード面では、船舶の大型化に対応した岸壁や航路・泊地等の整備に加え、コンテナターミナルの再編や荷役機械の増設など、各港のニーズに応じた港湾施設の整備を実施するとともに、港湾から幹線道路へのアクセス道路の整備を進めるなど、物流機能の強化に努めているところです。 また、ソフト面では、県外の港湾との競争が激化する中、本県港湾の利用促進を図るため、外貿定期コンテナ航路や国際フィーダー定期コンテナ航路に係る使用料等の減免を初め、荷主となる県内企業や船会社を対象としたポートセールスに取り組み、韓国航路の新規就航、阪神港への国際フィーダー便の増便など、一定の成果があらわれているところです。 こうした中、平成二十七年二月に交通政策基本計画が閣議決定され、流通業務の省力化や二酸化炭素の排出量抑制等に資するモーダルシフトの促進に向けた国の方針が示され、また、現下のトラック輸送における労働力不足の深刻化等を背景に、今後、モーダルシフトに向けた社会的な要請も高まることが予想されるところです。 こうした動向も踏まえ、県としては、お示しのフェリーやRORO船に限らず、コンテナ船も含め、陸上輸送から海上輸送への転換を促す観点から、引き続き、港湾施設を核とした物流網の整備を進めてまいります。 さらに、ポートセールスにおいても新たな荷主の開拓に向け、トラック輸送の比重が高い内陸部の企業を訪問対象に加えるなど、活動を強化し、ハード・ソフト両面から港湾機能の強化と利用促進に努めてまいります。 ○副議長(塩満久雄君) 本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。   ───────────── ○副議長(塩満久雄君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時三十六分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   塩   満   久   雄                   会議録署名議員   篠   﨑   圭   二                   会議録署名議員   山   手   康   弘...